Emacsでゲームもする

 Windows上で効率よく(あるいは気持よく)文書作成ができるように、EmacsのWindows向け実装であるMeadowを導入し、職場での環境整備を進めております。さて、実はこのEmacsというのは、テキストエディタにしてただのテキストエディタにはあらず、Emacs Lispという強力な言語でもって様々な機能強化やカスタマイズをできるということなのですね。

 実用面での機能強化といえば、HTMLなどのSGMLを編集するためのモードやCやJavaといったプログラミングに特化したモードなどをあげることができるでしょう。けれどEmacsの魅力は、こうした実用面のみにとどまるものではありません。そう、Emacsには非実用の機能も盛り込まれていて、その筆頭はまさしくゲームでありましょう。そう。Emacsはゲームも実行できるのです。

Tetrisで遊ぶ

 テキストエディタでするゲームだったら、せいぜい五目並べ(これも遊べます)だとかそんなのだろうと思う人もいるかも知れませんが、そういう人はM-x tetrisとやっていただきたい。なんと、テトリスがスタートするんですよ。さすがにBGMとかはないものの、その姿、そのルール、その面白さはまさにテトリス。うはあ、テキストエディタでテトリスができるとは。はじめてこの事実を知ったときには、さすがに私も驚きました。

 私が始めてEmacsを触ったのはMac OS X 10.1のターミナルででしょう。このときのテトリスは白黒で表現されただけの、極めてみづらいものでありましたが、Mac OS X 10.3ではカラー化されています。いやはや、こいつは驚きました。けど、ちょっと文字が縦長であるせいで、列の判断がきわめて難しい。そもそも私はテトリスとかあんまり好きでなく、むしろ面倒くさいと思ってしまう性質なので、なおさら遊ぼうという気にはなれないのでした。

 当然Meadowにもテトリスは収録されています。こちらもカラーで遊べて、いやはやテトリスはシンプルにしてよくできたゲームだと、再評価するのに最適です。

テキストアドベンチャーで遊ぶ

 あんまりテトリスが好きじゃないという私は、じゃあいったいなにで遊ぶというのでしょうか。

 MeadowのToolsメニューを見ると Gamesという項目があって、そこからいろいろゲームを起動できるんですね。一覧のなかには、名前を見てもわからないものがたくさんで、ぱっと見で想像のつくものといえば、gomokuとかtetrisとかでしょか。で、その中にadventureというのもあって、開いてみれば純然たるテキストアドベンチャーゲームが始まります。ただし英語。つまり英語の勉強になるというわけで、ちょっと遊んでみようという気になったのでした。

 しかし、テキストアドベンチャーのすごいのは、まずなにをしたらいいかまったくわからないことですね。どういうコマンドが有効なのかなんてまったくわからない。Googleで調べても全然情報も出てこないしで、まあ英語でいいんだろうと適当に命令していたら、だんだんやり方がわかってきました。

 状況を判断するときは、lookとします。目的語を指定しなかったら周囲を見回して、なにか特定のものを調べたいときは、目的語を指定してやります。そして見つかったものはgetもしくはtakeでとることができる。こんな感じで、思いつく英単語を打っていって、とにかく先に進むことができるようになりました。

 移動は、普通に考えてgoですね。これに方角を指定してやるのですが、方角は省略して記述することが可能です。東に行くなら、go eastでもgo eでもいいわけです。とにかくわかった範囲で動き回ったり穴を掘ってみたり、とにかくできることは全部試す。アドベンチャーゲームの基本形に立ち返る思いでしたよ。

 今年の日本の世相を反映してか、熊が出てきたりもして、でも正直なところ唐突なゲームですよ。熊に対処するその方法もべたといえばべた、けれどべたなぶん、簡単であるわけですから、わけがわからなくていらいらするということは少ないですね。順調に進んでいくことができました。

 そして、建物にはいり、VAXというUNIXマシンを見付けて、手がかりをもとに総当たりでユーザ名とパスワードを試して、不法ログインに成功。けれどここから先がわからなくなったんですね。このコンピュータでできることはというと、FTPとリモートログインくらいで、FTPはAnonymousではいれるからいいとして、rloginのパスワードがわからず、しかも調子にのってすべてのファイルをサーバに送ってしまったものだから、exitさえもできなくなってしまった。ああ、ここまで来てデッドエンドですよ。

 こうして私の冒険は、デッドエンドから始まりデッドエンドに終わったのでした。

 バッファ名を見ると*dungeon*となっていたから、多分M-x dungeonで起動できると思うのですが、どうもMac OS XのEmacsには収録されていない模様です。なので、私の冒険はこれでおしまい。いろいろ探求してという性質でもないので、それに基本的にPCではゲームをしないので、この先、謎がとかれることもないでしょう。ちょっと、残念ですね。ええ、残念です。


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公開日:2004.12.18
最終更新日:2006.02.15
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