Microsoft Accessは楽し

 僕は八年来のMacintoshユーザーで、もちろん今も、多分次のマシンもMacintoshになるだろう人間なので、さぞやマイクロソフト社は嫌いだろう、みたいに思われている節もありますが、まあ、どちらかといえば嫌いです。自分自身Windowsユーザーでもあるので、まあWindowsに関しては特になんとも思いませんが、とりわけWordというソフトウェアを嫌っております。重いし、訳の分からん気を使ってくれて、書式体裁をめちゃくちゃにしてくれるしで、他はともかく、Wordだけは御免こうむります。なので書類の類いは、メモ帳を使ってHTMLとCSSでやっつけてしまいます。計算をともなわない表だって、Table要素でへっちゃらです。このように、Word中心にマイクロソフト嫌いな僕ですが、ひとつだけ妙に好きなソフトがあります。それはMacrosoft Access。おそらく人類に与えられるうちで最もお手軽な、リレーショナルデータベース環境です。

 Accessはもちろんデータベースソフトなんだからして、なにをまずおいても、管理したいデータというのが必要です。発注管理でも商品管理でも、作れといわれればなんでも作りたくなってくる魅力がAccessにはあって、データの持つ特性、仕事の流れを見極めて、テーブルをこまごま作って繋げていくという面白さ。この見極めがきっちりいっていれば、後々の追加や変更にも大いに対応可能。膨大にデータが蓄積されていたとしても、クエリをそのつどちょこちょこ作ってピックアップしてやる。更新クエリを使えば、ごっちゃに入ってしまっているISBNとISSNの仕分けも、もう一瞬ですよ。使えば使うほど楽しくなっていく。Accessというのは、実に人を嬉しくさせる環境なのであります。

 Accessの作業でなにが一番好きかといわれれば、それはもうテーブルの構築なのでありますが、もちろん入力のためのフォームをどうこうするのも嫌いじゃないですよ。可能なかぎりストレスなく入力できる環境を作るのもいいですが、可能なかぎり入力ミスを減らす仕掛けを講じるのも嫌いじゃありません。機械的に取得できる値があれば、VBAでもなんでも使って、自動入力できるようにしちゃうし、レポートにて美しいレイアウトを追及するのも悪くない。嫌いなはずの単純作業――入力だって、楽しくできそうなくらいですもの。きっと相性が抜群だったんだと思います。

 ですが、Accessは仕事のために使っているもので、自分のための環境ではありません。同じ職場で働く人たちの便にと思い、データベースを構築しているわけです。ですが、確かに先ほど僕は、多くの人が間違いなく入力できるインターフェイスを作るのが楽しいとはいったのですが、妙に潔癖な僕は、自分が苦労して作ったものを人に触られるのが、死ぬほど嫌いなんです。でも、仕事を全部自分でできないのも分かっている。なので、もう可愛い娘を里子に出すかのような思いで、公開可能にまで持っていくのです。

 いずれは、自分の好きに構築する、完全に趣味によって基礎づけられたデータベースを作りたいなんて考えています。うちにはAccessがないので、Vine Linuxに導入されている、PostgreSQLには大いに期待しています。ただ、問題がひとつ。仕事を離れて自分には、わざわざ敢えてデータベースにしなければならないようなデータはない。これこそが、目下の大問題なのであります。


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公開日:2002.06.25
最終更新日:2002.06.25
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