カルドセプト エキスパンション プラス

Cepter's cup 2001 予選参加第二戦目速報
in Iruma

2001.1.20

 なにがここまで突き動かすのか。気がつけば、僕はバスに乗って東へと向かっていた。外に出るのはおっくうで、近場であってもあれこれと理由理屈をつけて出ることを潔しとしない。そんな僕だったのが、なぜか、自分ではないなにかに推し動かされるがごとくに、前へと進みだしていた。

 目的地は入間。埼玉の激戦区。

戦いに向けて

 戦いに向けては慌ただしいものだった。最初は近場の岡山を目指す予定だったのが、いろいろと思うところあり、埼玉は入間予選に出ることを決めた。理由はいろいろあれど、多くの強豪が集まるということと、またこのカルドセプトによって見知った人と再び、あるいははじめて出会うことが出来る、というそのためだと思う。なにしろ、人が戦略そのものであるこのゲームだ。人を見てはじめてゲームに近づくことが出来る。そういう気がする。

 入間遠征に向けて、旅の準備などに大わらわのなかで、予選用ブック「ねことわたし」は組み直された。前回の反省を生かし、クリーチャーを増やし全体のバランスをとったもの。これならばライフフォース下においても、以前ほどの不利に陥ることも少ないはずだ。

 しかし心配は、実際にブックが組み上がったのが木曜夜ということ。試用は一度きりだった。金曜夜には出立する。まさに強行軍の装い。不安はつのった。

戦いの日

 バスはまだ夜も明けぬうちに東京駅に着いた。しかし、店やなんかはまだ開いている気配さえなく、仕方がないので余裕を持って入間へと向かう。朝六時台の電車はがらがらで、ゆっくり座っていけたのは嬉しいことだ。ややこしいと脅されていた東京の電車も、なんら問題もなくスムーズに乗り継いでいくことが出来、うつらうつらと船を漕ぐうちに、電車は入間に着いた。

 その時刻、朝七時半。予選が始まるのは十一時からだ。道程の下見に店まで行き、再び駅に戻る。三時間以上の余裕を、喫茶店に入ってのコーヒーで潰し、そして会場へ。

 そこには驚くほどの人が集まっていた。三十二人定員と聞いていたのに実際には三十八人がエントリーしており、まさに激戦区と呼ばれるだけはある凄まじい様相であった。

 エントリーのさなか、ネット上で知りあった知人を見つける。今日のために京都土産を持ってきていたので、もっとも適任と思われる人を待つがなかなか来ないため、彼に託すことにした。そうして話をしているうちに、その適任者が到着。京都の土産は彼女に渡った。

 参加人数が多いため、それだけ選抜も厳しくなる。以前の店舗では各グループより二人勝ち抜けであったが、ここでは確実に勝ち抜けられるのはひとりのみ。二位は一位との魔力差が少ない順に準決勝トーナメントに勝ち進むことが出来るという、過酷な状況での戦いを強いられることとなった。

第一戦目

 事前のくじ引きで組み込まれたグループが、I グループということからも入間予選の参加者数の多さがうかがえる。I グループで戦うのは四名。オーソドックスな戦いが見られそうな雰囲気をした四人だった。

 序盤、一名がうまくホーリーワードやパーミッション、リコールなどを引き、周回を重ね始める。しかし、自分も同様にパーミッションを引き、周回を重ね、クリーチャーもケットシーを中心に配置することに成功する。意気揚々としたスタートだ。場の状況も、見知らぬ者同士とはいえ穏やかであり、むしろ淡々と進んでいるといった方が相応しい。

 しかし、ひとりがライフフォースを引いて状況が一変した。そのライフフォースをかける相手に彼が迷い、そもそもかけようかかけまいか躊躇していたのだ。ひとりが、自分はライフフォースを持っていないのでかけるなら別の二人にとアピール。そのうちのひとりは自分だったが、後でライフフォースを引いても捨てることを約束し、また実際にも捨てたため、ライフフォース騒動は収束したかに見えた。

 しかし、この後すぐに、また彼がライフフォースを引いた。その時点での二位が積極的に一位にかけることを進言。その時の一位が、運の悪いことに自分だった。

 この状況に、京都での最終戦を思いだす。一位に躍り出たがためにライフフォースを受けた戦いだ。なにしろカルドセプトは、一位になるということは狙ってくれといっているのも同じ。実際同じ状況で自分なら撃つだろうということで、甘んじてライフフォースを受けた。

 それは間違いだった。とはいえ、間違いもなにも撃つのは相手なので自分に決定権はない。受けて当然とはいえ、ライフフォースは気合いではねのけるが身上。ものすごい勢いで砦をまわり、城のある南の周回へ出て安心したときだ。先ほどの二位が、リコールを撃った。対象は僕。その時点で二位氏は北周回の転送円に出たところ、砦をまだひとつも踏んでいなかったので、まさかこの時点でリコールはないと考えた僕が甘かった。

 もう一周を余儀なくされる。

 この一周に手間取り、抜け出した時には三位まで落ちていた。場を見ると、なにをどうしたか先ほどのライフフォース氏がトップを走っている。おそらくは、リコール氏はあのリコールが原因して手損を招き、周回効率を悪化させたのだろう。

 三位まで落ちたのには理由がある。北の周回、レベル3水属性土地を占拠していたG・アメーバの土地に止まった際に、打つ手ほかになくリトルグレイでの誘拐に賭けていたのだ。誘拐の成功確率は50%。伸るか反るかの勝負だが、前回の京都では反っている。順番からいえば今回は伸ると思っても仕方がないだろう。

 結果は、反った。ボージェスの応援により一命をとりとめ、リトルグレイは手札に還った。

 この時点で、既に20ラウンドほどが経過。戦いは僅差でもって走っていた。南の周回にレベル2とレベル4のミルメコレオがおり、こいつをどうにか出来れば場をひっくり返すことも不可能ではないという位置に復帰していた僕は、勝負をかけたいと思っていた。

 このままではうまくいっても二位止まり。下手をすれば三位で終わりかねない。勝ちを決めるにはどうしてもその高額土地が必要だったのだ。

 神はこちらに微笑んだ、かに見えた。ダイス運に恵まれ、29ラウンド目にレベル2ミルメコレオに止まった。普通では倒せない奴対策に仕込んであったリトルグレイは健在。リトルグレイを召喚した。

 リトルグレイの能力、誘拐の成功確率は50%。伸るか反るかの勝負だが、過去二回を連続で反っている。今度こそ伸る番と踏んで呼び出すものの、期待は空しいもの。反った。

 だが、神は見捨てていなかった、かに見えた。ダイス運に恵まれ、最終ラウンドにレベル4ミルメコレオに止まったのだ。メイクドラマのチャンス。ライフフォースを受け一旦下位に甘んじたものの、最終ラウンドに勝負をかけての大逆転劇。

 見出しがまさに脳裏をよぎった。

 リトルグレイを召喚。しつこいようだが繰り返すと、奴の誘拐の成功確率は50%。伸るか反るかの勝負になるが、過去三回を連続で反っている。いくらなんでもそろそろ成功するだろうと、祈りは空しく響いた。

 反った。

 そして終わった。次々と土地を切り売り。残ったのはレベル3火属性土地を守るケットシー、一体だった。

 勝負は、意外や意外、ライフフォース戦にもリコール戻しにも関わらなかった、常に目立たない位置をひた走っていたミルメコレオ所有者が一位に輝いていた。というか、リトルグレイ特攻をあれだけ繰り返して失敗したらば、いくらなんでも魔力はミルメコレオ氏に移動します。

 しかし、悪事は千里を走り、禍福はあざなえる縄のごとし。古人はこうもいいました。

 人を呪わば穴二つ。

おまけ

 昼食後、あいたテーブルでもって対戦。さすがに勝敗が進退に関わらないだけあって穏やかなもんで、酒飲んでふわふわした気分で砦を踏み忘れたままリコールで帰城してみたり、対戦者は対戦者でにこにこしながらカタストロフィからテンペスト、テンペスト、スウォームと、大量殺戮の叫びの響く地獄絵図敵状況が展開していた。

 いやあ、予選ではテンペストブックに一度も当たらなくて本当によかった。手も足も出ない。四位。ちなみに、ここでもリトルグレイの誘拐成功せず。

おまけの二

 予選終了後、本選マップを使っての対戦。以前攻めるブック研究で作った、攻撃に特化させたブック「さつりく」にテンペストを加えた「さつりくのに」を急場でこしらえ投入。戦果は上々だった。

 なんというのか、おもにデコイを配置し護符を購入。コラプションをおそれながらもバリアーで守りながら進み、資産は実に無事。ドレインマジックで次々と敵資本を奪っては着々と私腹を肥やして一位。でも、バリアー下だから実に平和。これ、そうこれを予選にも求めてたのだよ。

 けれど、そもそも土地を確保して守ることなんか考えてないから、常にテンペストを二枚持ち歩いて誰も土地レベルをあげやしない。けれど終盤に入り、土地レベルがあがり始めると所持している護符枚数の多い者から上位に、順位が変動。

 最終局面は、バンドルギア召喚に成功し、水の連鎖を作ったうえにレベルをあげたセプターが断トツの一位で、それを僕が二位で追っていた。どこか、高い土地を奪えれば一位を抜けるため、グレムリンとフュージョンを手にレベル5ミルメコレオに攻撃をかけた。

 そうです。すっかり忘れてました。こんなことではミルメコレオは死にません。長旅で疲れてたんでしょう。事実疲れていました。

 ミルメコレオはドラゴンフライとして復活し、大金を巻き上げられてしまい、結果二位に甘んじることに。しかし、あれだけ巻き上げられても二位にとどまったのは、ある意味驚きだった。

 その魔力を土地に投資できたらば勝てたんだろうけど、仕方がない。攻めるクリーチャーもだが、守れるクリーチャーがいてこそはじめて勝てるゲームだと実感して、これを明日の糧としよう。

 東京は雪、已まず降り積もるばかり。

敗因分析

 リトルグレイの誘拐よりも、もう少し確率の高い別の手を考えるべきだろうと思う。それと、クリーチャーはもう少し少なくてもいいかもしれない。

 なお、序盤で一位になったものはまず確実と言っていいほど沈みます。


本日使用ブック「ねことわたし」

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公開日:2001.01.20
最終更新日:2001.09.02
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