ファースト Kiss ☆物語

×僕には合わんかった

【タイトル】 ファースト Kiss ☆物語
【発売元】  ヒューマン HuneX
【ジャンル】 ADV
【価格】   1998.11.26発売 ¥5,800
【ハード】  プレイステーション


 徹底的に僕とは合わないゲームでした。

 ゲーム自体は非常にオーソドックス、街のあちこちにいる女の子を探して、イベントをこなしていく第一部、そして終盤、目当ての女の子のみに絞って攻略していく第二部に分けられます。こういうタイプのゲームのファンなら、説明書いらずで大丈夫。街を探索する際には誰かいるポイントにハートマークが表示され、さらにポイントが表示されているときはいつでもセーブ可能なので、セーブ&ロードを繰り返せば、特定の女の子を追いかけるのも簡単です。

 ゲームとしては親切設計。特に操作やなんかに引っ掛かるところもなかった。で、何が合わなかったといえば、シナリオそのものです。舞台は冬、下宿に戻ると家の前で下宿先の妹娘が待っていてくれる。ああ、この寒い中僕を待ってくれていたんだ、で、普通抱き締めるかあ。近所の目があるでしょうが、んなことあってたまるか、うがあ。というわけで僕には合わないのです。

以上400文字でした。


 以下、無責任な感想をいくつか。

良かった点

  1. やってみるとそれでもはまる

     といっても、かなり無理はしましたけどね。このゲームは人からもらったもので、いきなり初手から合わなくて辛い思いをしたものだけど、心を鬼にして、一般社会のどうこうとか余計なことを忘れて打ち込むと、それはそれではまるものです。

     僕を完膚無きまで打ちのめした妹抱き締めるイベントも、このゲームをくれた人たちに言わせると、こういうシチュエーションで抱き締めるかどうかの選択肢が出たら「イベントグラフィックゲット」と思うくらいじゃないと駄目だ、とそういうことだそうです。

     でもこの努力と勢いは、攻略本なしで一人、攻略本ありでも二人しか持続しなかった。

  2. 意外やドラマCDが面白かった

     これは借りたもので手元にはないんですが、欲しくなってしまうしまうほど面白かった。ラジオ番組仕立てになってて、その本編部分も結構面白かったんだけど、一番面白かったのは本編終了後のフリートーク。なんつうんか、もうめちゃくちゃ言ってる。

     あれは欲しくなった。いや、まじで。

  3. 全女性キャラほぼ攻略可能

     これは良かった点というか、すごい点というところです。登場女性キャラクターのほぼ全て、ヒロインからヒロインの妹、さらには母親まで攻略対象になっているというのは、ちょっと無茶しすぎなくらい頑張ってます。

     この執念には敬服します。


悪かった点

  1. ポインタの移動が速すぎ

     選択肢や移動先などはマウス状のポインタで指示しなければなりません。が、このポインタが速いのなんのって。コントローラーの方向キーでは微調整不可、それくらい速いです。仕方がないのでアナログコントローラーを使うのですが、それでも速いって。

     まあ、いずれ慣れますが。

  2. 主人公にボイスがない

     キャラクターはボイスつきで、主人公にはボイスがありません。普段での会話シーンでは主人公の台詞は文字だけで、プレイヤーがそれを補う。これ自体はこの手のゲームの常套手段で問題ないのですが、問題はムービーなわけです。なんとねえ、主人公だけ字幕なんですよ。はっきりいってかなりげんなり。

     こんなことなら、主人公にもボイスをつけておけばいいのに。

  3. キャラクターグラフィックの癖が強い

     パッケージイラストとか説明書とかではまだいいんですが、本編のグラフィックや特にムービーがすごいです。すごいというのは額の広さで、福禄寿かすわモーターヘッドか、と思うほど額が広いです。

     見慣れれば少しは大丈夫になってきますが、それでも決定的に慣れない。ええ、慣れませんでしたとも。

  4. 展開やせりふが陳腐

     例えばヒロインの母親は未亡人なわけでして、上でも述べたように攻略可能だったりします。攻略も終盤にさしかかったところで、彼女は亡き夫の墓前にて独白するのですが、その台詞がすごい。ちょっと引用。

    「……私って、いやらしい女だわ……。娘と同じぐらいの男の子を……好きになるなんて」

     夜九時くらいからの二時間ドラマみたい。なかなかこういう台詞は日常では聞けません。

  5. 二人で一人双子だもんね

     双子の女の子がいまして、彼女らのテーマ曲のタイトルが「二人で一人+名前」なわけです。

     これには前例がありまして。NHKの幼児番組「おかあさんといっしょ」で放映されている「どれみふぁドーナッツ」でミドとファドという双子のテーマソングに「二人で一人双子だもんね」という歌詞がありました。で、世の中にはあるもんで双子を持つ母親の会というのがあるそうなんです。そこがその歌詞に待ったをかけました。二人で一人なら、一人ずつならうちの子は半人前ですか? いちゃもんみたいといえばいちゃもんみたいですけど、考えればそうなんですよね。実際に双子だったり双子の親だったりしない人からすれば気にしないことでも、当事者からすれば問題になることだってあるし、このケースはまさにそういうことだったんですね。

     というわけで、そういう例を既に知っていた僕としては、この曲タイトルには驚きました。

     なお、NHKはその会からの申し出に対し真摯な対応を見せ、現在では問題となった歌詞を持たない二番が歌われています。

  6. おいおいそこではずすかなあ

     この手のゲームでは多様な要求に応えるために、たいてい妹キャラと眼鏡キャラが用意されているのが一般的です。そしてこのゲームも例にたがわず妹キャラと眼鏡キャラが用意されているのですが、問題はその眼鏡キャラ、双子の妹の舞ちゃんです。

     いや、いいんですよ。悪くないです、決して。でも、クリアしたそのグラフィックで眼鏡はずしてるのはなんで? そりゃあんた詐欺でしょう、ペテンです。

     この仕打ちは許せないなあ。でも、意外とこういう展開多いんだよなあ。妹キャラが実は年上だったとか言うのは聞いたことないのにさ。(以下異常に長いので略)


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公開日:2000.08.26
最終更新日:2001.08.29
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