【タイトル】 瑠璃色の雪 〜るりいろのゆき〜
【発売元】 アイル
【ジャンル】 ADV
【価格】 1997.3.7発売 \7,800
【ハード】 PC-9801VM以降
ひょんなことから金髪の雪女、瑠璃と同居することになった主人公。二人を軸に繰り広げられる、一対多のラブコメディー。ラブコメの定番、異星人や女神の彼女との同居ものの一類と見れば間違いないでしょう。
ですが、瑠璃の存在と同居に必然性がなく、二人が深い仲となりうるイベントもほとんどないため、なぜ瑠璃が主人公と彼の幸せにそれほどこだわったのか分かりません。幼なじみの陽子の方が、むしろしっくり来るくらい。これは、このゲームの最大の欠点の一つです。
反面、造り自体は実に丁寧で、かゆいところに手が届きます。サービス精神も旺盛、プレイに関してのストレスはまずありません。ですが、ゲームを進めるうえで重要となるイベントを見つけるのは一苦労。初回プレイは実に健全にプレイ、攻略情報がなければ投げたに違いありません。
ですが攻略対象キャラも多く、密度も高いのでこの手のゲームとしては正しいバランスなのかも知れません。
以上400文字でした。
以下、無責任な感想をいくつか。
この台詞がはじめて主人公の口から出たとき、ついに主人公が壊れて、廃人一歩手前になったかと思いました。だって、公園やどこかであった幼なじみに、突然そんなこと言わんでしょう。なんというのか、現実と非現実の境界をまたいでしまったみたいな感じがしたのです。
でも思えば、このとき以来僕は真鍋博士という男に、共感的でさえあり得たのかも知れません。
さて、肝心の幼なじみの陽子ですが、眼鏡かけてます。実にいい感じ。話の一番最初からいて、結構いろいろと世話を焼いてくれて、実は博士のことが好きだというのが分かります。子どものころからのエピソードもあり、なんとなくけなげさというのが見えて、本来のヒロインの瑠璃以上にヒロインです。
とはいえ、設定、エピソードのほとんどはありきたりといえるものでもあるのですが。
真鍋博士の台詞、正確には以下の通りです
「晴れた日って、なんか陽子を連想するな。
明るくて、あったかくって、名前も太陽の陽だし。」
瑠璃をトレーニングしてくれた雪女、雪那さん。実にいい女性です。
過去にどういういきさつがあったのかは語られませんが、一人娘の真名との二人暮らし。ゲーム中盤以降からの彼女のエピソードは、結構好きなエピソードです。雪女であることがいけなかったのか、それともまた別の要因があったのか、世間一般の仕合せからちょっと遠ざかってるところが垣間見える彼女ですが、真名ちゃんと親ひとり子ひとりの、実につつましくもほほ笑ましい生活を送っています。
そこに関わっていく博士。パパになってくれればいいのに、ってべたなネタですが、結構好きです。
とはいえ、序盤から中盤に入るまでの雪那さんって、むちゃとしか言いようのない、一歩間違えばぞんざい以外に表現しえないような、キャラクターです。このへん、バランスが悪いなあ。
これもまたべたキャラです。奔放な妹に、まじめな自分を演じるのに疲れた姉。でも、べたですが嫌いじゃなかったかな。
どちらかといえば、姉の方がよりお好みですが、でもちょっと壊れかけてる子なんだよなあ。いいえ、それもまたよしですか?
エンディングが、各キャラに二種類用意されていまして、雰囲気と味わいが違います。全般的に少々寂しげな雰囲気のあるエンディング1の方が好み。その中でも特にいいのは、陽子と双葉。そして雪那さんのエンディング1、2です。雪那さん、なんか仕合せになった、という感じでいいです。陽子のエンディング2も好きかな。
イベントCGやBGM視聴とかはほかのゲームでもありますが、このゲームにはさらに名シーンの閲覧機能があったりします。セーブも五十箇所可能。
このせいで、ほかのゲームがちょっと不親切に感じます。
本来、少々不健全なプレイになるはずのゲームなのですが、初回プレイは異常に健全でした。というか、序盤、うちにこもってずっと試験勉強。試験勉強につかれたら猫の世話と発明。そしてまた勉強。
これでなにかが起こるわけもありません。というか、おいら、実につまらない人生送ってきちゃったもんだよな、と実感してしまったりして。いや、別にそれほど後悔してませんけど。
いやあ、わかりません。全然分かりませんでした。それで、初回プレイ時は試験が終わったところで投げて、お蔵入りになりました。
結局、攻略情報を見つけて、それでタイムテーブルやなんかにしたがってプレイしたもんだから、非常に乱暴な読み方しかしてないところがあります。だって、ほとんどスキップでプレイしたかなあ。
そういう意味では、ちゃんとプレイしていないのかも知れません。
ちゃんと読んでないからかも知れませんが、たぶんそうじゃありません。ちゃんと読めば、ストーリーに関する評価は下がるかも知れないのです。
というのは、イベントが単発単発で起こり、他のイベントとの関連が希薄に感じられるのです。それに、イベントを探す必要があってそれがヒントなしと来ているわけですから、イベントの関連性の薄さの上に、連続性が感じられないのです。
だから、正しいプレイはとにかくイベントを次々と出し、イベント直前でセーブ。イベントだけを連続してみて、足りない部分は自分の想像で補う、のがいいんじゃないでしょうか。
そうしていくと、エンディングも結構感動できたりします。
ただ、瑠璃の存在に関する希薄さは残り続けるのですけど。
捨てるに忍びないと、知人からもらったPC-9821。さらに、最新のWindowsマシンを買ったので98ソフトが不要になったという別の知人からもらい受けたのがこの「瑠璃色の雪」とほか数本です。
インストール中に発覚したディスクエラーを、慣れないWindowsを駆使し回復させ、インストールしたのでした。そのせいで、いつ壊れたデータが出てくるのだろうかとドキドキしながらプレイしていました。
それが、二千年の正月のことでした。そう、年末に攻略情報を見つけたのです。
なんというか、デュープリズムで越し、瑠璃色の雪で明けた二千年。
なんか、変ですかねえ。