ジオニックフロント

◎敗戦という美学 し、死ぬのはいやだーっ!

【タイトル】 ジオニックフロント 機動戦士ガンダム0079
【発売元】  バンダイ
【ジャンル】 SLG
【価格】   2001.9.6発売 \6,800
【ハード】  プレイステーション2


 普通のロボットものを期待していると驚かされるのが、あまりのストイックさ。簡単に破壊される自機に僚機。うかうかしていると敵機に取り囲まれてあっという間に危機。戦況把握と的確な作戦立案が、作戦行動の成否を分けるのです。

 プレイヤーがなすべきことは多岐にわたります。出撃機の選択。進撃ルートの設定。出撃すれば最高三チームの動向を把握し、場合によっては操作しなければなりません。索敵し敵を捕捉、そして攻撃。連携が決まって作戦を全うしたときの喜びといったら、並みのゲームの比ではありません。

 操作感は非常にスムーズ。多少の煩わしさは感じられますが、慣れれば充分対処できます。アクションが得意なら獅子奮迅の活躍で、苦手なら知略で戦況を有利に運ぶも自由。重要なのは、こまごまとした気遣いや操作、指示を面倒くさがらないこと。これを楽しめるのなら、これは抜群のお勧めといえましょう。君がジオンファンならなおさらです。

以上400文字でした。


 以下、無責任な感想をいくつか。

良かった点

  1. 戦場の空気がひしひし

     といっても、戦場にいったことなんてないのではありますが。

     容易には勝てないほどよいバランスと、油断すると一撃で墜ちてしまうこの緊張感ったらないです。自機が墜ちたときの無念さときたら、筆舌に現せないほど。しかも、本当だったらこの瞬間に自分は死んでるんだろうなあ、というその想像が、死にたくない死にたくないという生命への飢餓感を掻き立てて、たかがゲームに本気にさせます。

     一兵たりとも死なせてなるものかあ。とは思うものの、そこまでの道は遥か遠く。努力が必要です。

  2. モビルスーツが抜群

     登場するモビルスーツは、ザクを中心にして、非常にスタンダードなものがしっかりと作りこまれていて、大感激です。武装も、105mmマシンガンからビームライフルまで、これでもかこれでもかとガンダム世代の血を騒がせるブツが用意されています。

     これだけのものを前にして、クラッカーがないとか、ミサイルランチャーはぜひ脚にとか、さらにはザクキャノンはいねえの? なんて言ったら、罰が当たるんでしょうね、多分。

  3. ガンダムが兇悪

     連邦の白いモビルスーツは化け物です。なんであんなに強いのか疑問に感じるほど強い。そりゃ、ドムの開発を急がねばならなかったわけです。

     しかも、ホワイトベース探査ミッションでのアムロの鬼のような猛攻といったら。あまりの凶悪さに、アニメ『ガンダム』のジオン兵の恐怖に共感。ちょっと嬉しくなったのでした。

  4. シャア少佐が憎い

     シャアを憎んだのははじめてのことではないでしょうか。あの鬼のようなガンダムとホワイトベース部隊を沈めることも出来たかも知れないチャンスに謀略を優先させたあの男。許すまじ! とかいいながら、シャアザク使用可になったらもううはうは。やはりシャア少佐はジオンのヒーローなのです。

  5. あのオペレーターが健在

     PS2でリリースされた『機動戦士ガンダム』。そのタクティクスバトル、ジオン軍編に咲いた一輪の花。あのオペレーターが健在です。いやあ、些細でばかばかしいことなんだけれども、嬉しかった。でも、シャルロッテ少尉がオペレーター席に座りっぱなしなので、あんまり会えないんだよな。それが悩みです。


ちょっと困った点

  1. ロードが長い!

     ものすごく長いです。ブリーフィングからミッションへのロードの余りの長さに、ルート設定やなんかを見直しするよりも、力押しをしたくなってしまう。このあたり、なんとかならないものかと。

     後、些細なことなんだけれども、ミッション開始とミッション失敗時のSEをスキップできるようにしておいて欲しかった。意外にストレスのたまる時間なのです。

  2. サポート装備切り替えが難儀

     円滑な作戦遂行にかかすことが出来ないのがサポート装備。使い方如何によっては、決死の作戦さえやすやすとクリアさせるだけの威力を持っていたりする重要なファクターなのですが、複数の使用可能装備を使い回そうとすると、ちょっと使い勝手が悪いのです。

     敵を撹乱するためにダミーを設置していたところ、敵部隊に遭遇。煙幕を焚いて戦闘を回避したいと思うものの、今手元にあるのはあくまでもダミーです。切り替えにはメニューを呼びだして、十字キーでサポート装備を選んで、さらに使いたい装備を選んでやらなければならないという煩雑さ。その間も時間は刻々と過ぎていきます。こんなことしてたら、いくらなんでも死ぬって。

     ショートカットを用意しておいて欲しかったなあ。

  3. ライバルがへたれ

     エイガー少尉とおっしゃるんですか? はじめてガンキャノンで遭遇したときはさすがにびびりましたが、その後はいうほどでもなかったのであります。だってさ、弱いんだもん。一昨日来やがれ!

  4. シャルロッテ、使えねえー

     盛んに出撃したいと言うから使ってあげたいとは思うんだけど、機体も装備も中途半端で、「お荷物」ニッキ少尉よりも使えなかった。そんなこんなで、すっかり箱入り娘。それとも、これってうちだけ?

     すまねえ、二周目では活躍してもらうからね。


 キャラものイコールくそゲーという図式はもはや通用しません。しっかりと作りこまれて、遊べる範囲も広くそして柔軟。屈指の名作と言うのに、ためらいは微塵もありません。

 ガンダムの世界観をこれほどにまで表しえたゲームも、なかなかなかったでしょう。一兵卒の視点で見るジオン軍は、無理矢理に振り絞った志気と、人の命が思想の盾にされる、戦争の悲惨さ悲壮感が漂う悲しい場所でありました。前線というところは、時にロマンチックに描かれたりなぞしますが、決してそんな甘ったるい場所ではありえないだろうと、死にゆく僚機パイロットの悲鳴を聞きながら思ったりしたのでした。

 やっぱり平和がいいですねえ。しみじみと。


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公開日:2001.09.16
最終更新日:2001.09.17
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