「Lの季節」に出会ったのは、初めて買った「電撃プレイステーション」1998年11月13日号、Vol. 88でのことだったろうか。その年の夏にWizardryやりたさに遅ればせながらもPSを購入して数ヶ月、当初はWiz以外買う予定もなかったというのに、いろいろと新作ソフトにも興味が出始めた時期、その表紙がブレイブサーガだったのが決め手となり「電撃プレイステーション」を購入するにいたったのは神の采配に思える。
ゲーム誌を買うのは「ファミコン必勝本」以来、新情報に触れ隅々までくまなく読んだ。すべてが新鮮だったそこで、僕は初めて「Lの季節」に行き当たった。
第一印象は言葉にすることは出来ない。独特の世界観を持った、日の陰り薄闇に沈んだ色彩、それが心を打ったのだろうと思う。ファミコン以来プレステまでゲーム機を所有していなかったとはいえ、女の子攻略を目的としたソフトを知らないわけではなかった。けれど、「L」は違った。原色がきらびやかに入り乱れ極端にキャラクター性の強調された、その手の層に支持されるべくつくられた女の子達とは違う、少なくとも僕には違った。
いいかえれば地味なのかもしれない。けれど僕にはそのシックな色調が、何より彼女らの日常にありふれたささいな仕種が、……気付かぬうちに僕を穿った。新作には興味のないはずだった僕の心は揺れ、これからの、彼女らと出会うその日を待って、日々醸成されることとなる。
心にひそかに染み入っていた「Lの季節」は、初めての電撃プレイステーション購入から数ヶ月後に明確に意識される。その強烈に焦がれる気持ちが件の見開きページに溯れることを知り、縁の不思議を知った。あの時、買うか買うまいか逡巡しながらも手に取ったDPS。あの時の一歩がなければきっと僕は「L」と出会うことは出来なかっただろう。
ここに運命的ということを思う。