Wizardry

冒険者たちを前にして

第1期メンバーが揃う

 キャラクターメイクのルールにしたがって、作りに作った冒険者20名。しかしこいつは少々参ったことになったぞというのが今の感想。というのはですよ、なんと魔術師がふたりしかできなかったのです。おおう、すごいアンバランス。事前の予想ではノーマルクラス、戦士、盗賊、僧侶、魔術師が四五人程度ずつできる予定であったのに、結果はもう予想を大きく裏切ってしまったのでした。

 盗賊が6名、戦士6名、僧侶6名、で魔術師2名。事前の予想では、ここに司教がひとりくらい交じるんじゃないかなと思っていたのが、それどころではありませんな。しかし、魔術師といえばWizardryにおける花形職業であり、パーティにかかすことのできない人材です。それがたったのふたり! 先が思いやられますな。

種族別の内訳

 さて、上記の偏りの原因ですが、種族別に見てみるとなんとなく見えてくるものがあるかも知れません。

種族別人数内訳
種族 人数
人間 2
エルフ 1
ドワーフ 7
ノーム 2
ホビット 8

 ご覧のとおり、圧倒的にホビットが多く、ついでドワーフが多い。ノームと人間がふたりずつで、エルフにいたってはひとりしかいません。

 さて、ホビット8名のうち盗賊になったものは6名。逆にいえば、盗賊はすべてホビットです。盗賊にならなかったホビットは善の2名だけ。魔術師と僧侶になっていますが、これはつまりボーナスポイントの割り振りがうまくいかなかったために、なりうる職業をまず決めたというケースなのです。逆にこのルールがあったために助かったともいえるでしょう。職業が決まらないためにお帰りいただいたりしていたら、魔術師はたったひとりだったかも知れないのです。

 ついでドワーフ。ドワーフは圧倒的に戦士が多く、7名中6名が戦士です。つまり戦士は例外なくドワーフであるということです。ひとりだけ僧侶になっています。ドワーフは信仰心も高いですからね。

 ノームは2名中2名が僧侶。人間は僧侶と魔術師が1名ずつ。人間に関しては、ボーナスポイントの低さがたたって職業先決めルールが発動しています。そしてエルフ。この人は知力14信仰心11という、明らかに魔術師向きの特性を示しながら、僧侶になったという変わり種です(まあさいころの気まぐれなのですが)。もしボーナスポイントの割り振りがあと少し信仰心に傾いていたら司教にもなれたかも知れない。ですが、僧侶。この人が善でなく中立であったらばと思ったりもしますが、こうした思いがけない流れが生じるのがさいころを利用する醍醐味であろうかと思いますので、これはこれでよかったのでしょう。

 さいころ特性値振り分けの結果、ドワーフは戦士に、ノームは僧侶に、そしてホビットは盗賊に向いているという定説が極めて明確にあらわれました。魔術師があまりに少なかったのは、エルフが出なかったということもありますが、仮にエルフが数名出たとしても、半数は僧侶に流れた可能性もあるわけで、そう考えれば魔術師というのは意図して作らない限り出てきにくい職業なのかも知れません。

職業の偏りについて

 さて、職業が戦士や盗賊に偏りを見せたというのは、なんだかリアルであるなと思うのですよ。というのはですね、一獲千金大逆転を狙ってトレボー城塞に集まってきた彼らの来歴というのを考えると、どう考えても食い詰めた連中でしかないわけです。悪くいえばごろつきです。食うに困って、故郷飛び出してきて、俺はビッグになるんだなんて夢みたいなことをいっている。こういう連中、日本にもいましたよね。ほら、幕末、食うに困って京にやってきた連中がいたでしょう。主義や思想の違いによって佐幕やら勤王やらに別れていましたが、どちらにせよ彼らの多数は食い詰め浪人だったのです。思想にかぶれて一発逆転を狙うのですが、そうした彼らの頼りにしたものといえば結局は剣なんですよね。知恵者も確かにいましたし、そういうものこそが歴史に名を残しているとはいえど、そうしたのはほとんどまれで、大多数は腕に覚えあり、力こそ正義といった輩であったわけです。

 トレボー城塞に集まったもののうち、体に自信のあるものはまあ戦士なんぞをやってみることになり、すばしっこいのは盗賊家業。しかも今回に関しては、ホビットやらドワーフやらが都市になだれ込んできているようで、彼らの住む地域に飢饉でもあったか病でも流行ったか。そんなこんなでどうにも食えないものだから、次男坊三男坊は体よく追い出されて、しかたがないから都市にやってきた。

 実際、ヨーロッパ中世における都市の成立は、上にいったような要素が大きく関わっていたのだと聞いています。食い詰めた連中が集まって都市はふくらんだと、そういう話は阿部謹也の本で読んだのだったか、実際ありうる話だなあと思います。

 今回はたまたま魔術師が少なくて、けれど5種族がまんべんなく出ていればどうなったかはわかりません。ホビットはそのほとんどが盗賊に、ドワーフは戦士になったり僧侶になったり、エルフは魔術師あるいは僧侶になって、ノームは僧侶か盗賊でしょう。で、この4種族だけ見ると僧侶が増えそうにも思うけれど、人間が僧侶の割合を引き下げるから、一番多く出そうなのは盗賊ということになろうかと思います。で、一番少ないのが魔術師でしょう。

 魔術師ばかり増えるとパーティの組みようがないという問題も出るから、こうしたバランスになるのは案外よいのかも知れませんね。


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ノーリセットで駆け抜ける青春:Index 「Wizardry」リセットボタンのない人生(仮)

公開日:2006.08.04
最終更新日:2006.08.05
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