今日テレビで劣化ウラン弾に関する特集番組が放送されているのを見て、その感想をえらい長文で書いてみたら、ふとティルトウェイトはどうなんだろうなんて思ってしまったのでした。この文章をお読みの皆さんなら当然ご存じのように、初期Wizardryにおける最強の攻撃呪文であるティルトウェイトは核攻撃です。この設定を説明書に見つけて、度肝を抜かれた人も少なくないと思います。さて、そうなれば当然気になるのはティルトウェイトの環境及び健康に及ぼす影響です。残留放射能の問題はないのか? 冒険者たちの健康に影響はないのだろうか?
以下に劣化ウラン弾に対する私の見解とティルトウェイトに関する私の見解を転載します。ひとりの人間が、置かれた状況が変わるだけでこれほどに意見を違えてしまうのかという好例を示していると思われます。どうぞ読者の皆様に関しましては、これを他山の石としてくださいますようお願いいたします。
劣化ウラン弾の特集番組を見て、私は以前から劣化ウラン弾は健康被害を及ぼすよ派だったのですが、誰だよ、劣化ウラン弾は健康被害を及ばさないなんていってたやつは! というのが今の正直な感想です。
劣化ウラン弾に関する状況をおさらいしておくと、劣化ウラン弾が健康被害を及ぼすというのは左翼の宣伝だという派閥と、劣化ウラン弾が健康被害を及ばさないというのは右派の宣伝だという派閥がにらみ合っていて、正直どっちやねんというのが私の印象。このあたりのことは政治的立場を抜きにして調査すればわかるだろうよと、なんでそれをせんのじゃと思うわけですが、どうしても政治的な影響というのを抜きにはできないみたいで、うまくはいっとらんみたいです。
一応WHOの調査というのもあって、これを読めば「正直まだようわからん」というのが実態のようで、だから今後の研究に期待せざるを得ないのですが、もし(とここではいっておきます)劣化ウラン弾が健康被害を及ぼす可能性があるのであれば、その研究結果が出るころには取り返しのつかないことになってるかも知れません。
例えばほらさ、公害においても同様の状況が発生することがありますが、水俣病なんかも有機水銀が原因であるにも関わらず風土病と宣伝されたことにより、その対策が遅れました。最初の確認が1950年代初頭、熊本大学医学部により有機水銀が原因と公表されたのが1959年、政府による認定はさらに遅れて1969年。このタイムラグのために、被害の拡大はよりいっそう深刻化しました。
事態の確認においては、まず起こっていることを認識することが第一であろうかと思います。そしてその原因となるものとの因果関係を調べる。そこに優位な関連性が見いだされるならば、慎重を期すべきではないかと思います。裁判なんかでは「疑わしきは罰せず」でありますが、環境や健康に関しては「疑わしきは慎重に」であるべきであろうと思うのですが、どうも今はそうなっていないわけで、多分今後も被害は拡大することでしょう。
劣化ウラン弾が健康被害をもたらすのであればという、仮定での話ではありますけどね。
これはいうべきではないことかも知れないけど、蛇足。劣化ウラン弾による被害について、「(劣化ウラン弾が使用された地域において現れた白血病等の事例が)反米・反核を中心的イデオロギーとして持つリベラル団体によってプロパガンダ素材として使われている(引用はWikipedia「劣化ウラン弾」の項目から)」という意見もあるわけですが、アメリカ、特に米軍が劣化ウラン弾に健康被害をもたらしうるという明確な証拠が出ていないといっているからといって、どうしてそれを鵜呑みにできるのだろうとも思います。だってアメリカは、健康に著しい被害をもたらすということを知りつつ枯葉剤の使用に踏み切り、自国の軍人にも深刻な健康被害をもたらしたし、初期の原爆実験においても、たとえ当時放射線の人体にもたらす影響が過小評価されていたとはいっても、爆発直後の突入訓練において自軍の兵士に、また近隣に住む住民に健康被害をもたらしているわけです。糜爛性の毒ガス兵器マスタードガス(イペリット)の実験においても自軍の兵士が使われて、ひどい後遺症に悩まされている人がいるという話もあって、こうした過去の事例を知れば知るほど、劣化ウラン弾は安全、大丈夫という発表が妥当とは思われないのですが、そういう考えを持つのはやっぱり私になんらかのバイアスがあるからでしょうか。ともあれ、健康被害を及ぼす派も健康被害との有意な関連性は確認できていない派も、双方クールダウンし、まずは劣化ウラン弾の特性のみに注目して欲しいものだと思います。こうした事例を自分の主張や意見の道具にするのではなく(健康被害派もその逆にしても、強弁する人からはそうした匂いがぷんぷんします)、なにはなくとも事実の確認がされるべきじゃないのかと思います。
健康被害で思い出したのだけど、初期Wizardryにおける最強の攻撃呪文ティルトウェイトは核攻撃であったりします。ええーっ、ファンタジーなのに核なの!? って感じもしますが、まあこれはマニュアルにもしっかりと書かれている事実であります。
さて、迷宮内において核爆発を引き起こして、果たして冒険者たちは大丈夫なのか? 爆発の威力はコントロールされるとしても、残留放射能等の影響はないのか? などといろいろ論争になっていて、結論は当然ながらでないもののさまざまな意見が散見されます。
曰く、核反応は異世界でおこなわれ爆発のエネルギーのみが転化されて利用されているため、放射能汚染は存在しないという意見。ベニー松山の『隣り合わせの灰と青春』なんかに見られる見解ですね。
対して、Wizの作者はアメリカ人であるわけで、強力な攻撃=核攻撃という単純な発想が根本にあるんだろうから、放射能汚染とかは考慮されていないに違いない。もしあの世界にガイガー計があれば、きっとえらいことになっているに違いないという意見。なお、私はこちらの見解を支持しております。
でだ、実際自分が冒険者として迷宮に潜っているとしましょう。ほんで目の前には一筋縄ではいかない強大な敵がいる。それもしこたまいる。速やかに殲滅するには呪文使用が必須、それも最大の攻撃範囲と威力を誇るティルトウェイトを使わなければ、敵の駆逐には到底間に合わないということが簡単に予想される状況です。
さて、私はRPGなんかではきっと魔術師をロールプレイしているに違いないわけですが(だって自分の特性をかんがみて、物理攻撃を専門とする職業に就けるとは到底思えない)、つまり専門家である魔術師はティルトウェイトの効果、利点も知っていれば、その裏である健康被害の可能性も熟知しているはずで、つまり上のような状況においては、健康被害と威力、どちらをとるかという判断は魔術師がもっとも葛藤せねばならないところであるというわけです。
上記のシチュエーションにおいて、健康及び環境に悪影響を及ぼす呪文を使用するか否か。私の判断は明確です。
使用する、それもなんのためらいもなしに!
呪文の使用を躊躇して全滅したら意味ないのですよ。と、このような判断をする私の性格は善であるのかあるいは悪であるのか。どう考えても悪っぽいけど、私自身は善だと思ってるんだけどなあ。だって困ってるお婆さんがいたら、きっと助けにいきますもの、私は。
しまった、今日は広島に原爆の投下された日じゃないか。やばいもの書いてしまった気がする。
とってつけたようで申し訳ないけど、私は反核派です。信憑性ないかも知れないけど反核派です。
ノーリセットで駆け抜ける青春:Index 「Wizardry」リセットボタンのない人生(仮)