Wizardry

天才と凡人の差

誰もが皆、平等ってわけじゃない

 今回のさいころプレイは、凡人でも努力すればきっといつか報われるということを実証したいから、みたいなことをいっていました。高いボーナスポイントを狙って何度もキャラクターメイクを繰り返すという、Wizardryを有利に効率的にプレイするためにはある種必須であるかのようにいわれていることをあえてやめ、しかもボーナスポイントの割り振りもさいころで決定したという今回のプレイ。その初期のボーナスポイントの差がどれくらい後に影響してくるのかというのを今回は紹介したいと思います。

 第1期メンバーでもっともボーナスポイントに恵まれたのは、19ポイントをたたき出したEnvahirでした。レベル9になった彼と、同パーティの戦士であるLeを比較してみましょう。

EnvahirとLeの比較

 以下に彼らがレベル1だったころのパラメータを表示してみましょう。

Envahir / Le比較表:レベル1
名前 種族 性格 年齢 職業 B.P.
Envahir ドワーフ 18 戦士 19 13 11 13 13 8 9
Le ドワーフ 17 戦士 9 14 7 10 10 7 9

 両者ドワーフという同種族比較なので、開始時点での差というのが見えやすいと思います。この表で重要なのは、生命力の差でしょう。3ポイント差がついています。このふたりがレベル9になった時点でのパラメータを示します。

Envahir / Le比較表:レベル9
名前 種族 性格 年齢 職業 B.P.
Envahir ドワーフ 18 戦士 19 18 15 18 18 11 13
Le ドワーフ 17 戦士 9 18 11 12 15 11 10

 スタート時の差をほぼ維持したまま、全体にパラメータがあがっていることがわかるかと思います。両者ともに力は最大値である18にまで上り詰め、戦士としての能力に関しては上出来、後少し素早さがあがれば、敵の先手を取り安定してダメージを加えることのできる理想的な働きが期待できるでしょう。さて、ここでもう一点、前衛職である戦士にとって重要なパラメータである生命力です。Envahirが18と最高値、Leが15と少し及ばず。わずか3ポイントのこの差がもたらすものがなにかは、次の表を見ていただければ瞭然であろうかと思います。

Envahir / Le比較表:H.P.
名前 H.P.
Envahir 86
Le 50

 大きな差がついていることがわかろうかと思います。Envahirが86という大きな値を得ているのに対し、Leは50とEnvahirの6割程度の値しか得られていないのです。この差は実に大きい。

 こんなことをいうと興ざめかも知れませんが、生命力とH.P.の関係は、その値が16以上になってはじめて有意味になってくるのです。16なら生命力を決める乱数に+1の補正が加わり、18なら+3という大きな加算がなされます。これがかけるレベル数分の差になってくるわけですから、プラス補正を得られないLeに対してEnvahirは27ポイントの有利を得られているという計算が成り立ちます。

 しかし、計算上では+27ですが、実際には+36というより大きな値が出ています。これはひとえに運としかいいようがないのですが、ですがもう一点重要な要素、確率の問題が出てきます。

 WizardryにおけるH.P.の算出は和ではありません。レベルアップ時にそのつど計算をおこない、得られたその結果が最大H.P.となるのです。だから、より早い時点でH.P.算出の乱数にプラス補正がなされていることが望ましく、というのは、プラス補正を受けた状態での計算をより多く試すことができるということに繋がるからです。

 同じ6面体さいころを振るにしても、たった1回だけ振るんじゃなくて、3度4度と振ったほうが、大きな値を得られる可能性は増えるでしょう? Wizardryの最大H.P.算出はレベルアップごとにさいころがひとつずつ増えていくので単純にいうことはできませんが、それでもより早い時点でプラス補正が加わっていることが有利であることには違いがないのです。

WizardryにおけるH.P.の重要性

 他のRPGに比べても死にやすく、しかも灰化、ロストというリスクもともなうWizardryでは、H.P.は高いに越したことがありません。だから、より高いボーナスポイントを得て、可能な限り生命力に振り込むというのがある種鉄則のようになっているのです。

 今回のプレイでは、恣意的にボーナスポイントの振り分けをおこなうことができなかったため、種族の特性値そのままという、通常ならやらないような値でスタートしているものもいます。それは例えば魔術師Nefであり、彼の生命力はホビットの基本値である6で開始しました。対して同じ魔術師であるObusは人間なので比較的生命力に恵まれているうえ、ボーナスポイントの振り込みが1ポイントありました。この差は覿面です。2パーティを掛け持ちして常に1レベル先行しているNefですが、ことH.P.に関してはObusに及ばず、レベル9時点で10ほどの差がついています。

 これはつまりどういうことかというと、ブレスやスペルによる攻撃で差がつくということで、特におそろしいのは先制のブレス。脆弱な彼らはここが地下3階であるからまだ安心していられるのであり、後ひとつ階層を下がればこれまでとは比較にならない危険にさらされることとなるでしょう。しかし、そうなったときに生き残る可能性が高いのはObusです。Wizardryではほんの数ポイントの差で生死が分かれることがままあるのですから、それが10ポイントにも開けば天と地ほども違うといっていいかと思います。


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ノーリセットで駆け抜ける青春:Index 「Wizardry」リセットボタンのない人生(仮)

公開日:2006.09.16
最終更新日:2006.09.18
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