シリーズ 旅行けば中国

成都

成都での行程

土曜日
関西空港機内北京空港成都四川錦江賓館

関西空港へ向かう

Osaka 中国へ向かおうという朝。関西空港団体受付カウンターに午前八時集合というスケジュールだったものだから、苦手な早起きをしなければなりませんでした。起きたのは午前四時。ちなみに前夜寝たのは午前三時でした。いや、嬉しくて眠れなかったとかそういうのんじゃなくて、とにかくやっておかないといけないことがたくさんあったのです。更新とか更新とか更新とかですね。

 関西空港へいくにはいくつかの選択肢がありますが、そのひとつはMKタクシーが提供するスカイゲイトシャトル。自宅まで迎えにきてくれるというサービスなんですが、価格は四千円くらい? 結構安価だと聞いています。もちろん帰りの予約もできますから、スーツケースやらとにかく荷物がたくさんあって大変だという時には、MKを使うのはありだと思います。

Osaka ですが、私はそうはしませんでした。私のとった手段は鉄道です。大阪まで私鉄で出、その後JR関空快速にて関西空港へと向かうというやり方です。これだと運賃を安価に抑えることができます。その価格千数百円というリーズナブルさ。ちょっと時間がかかるとか、実際始発に乗らないといけないから結構朝がつらいとかデメリットもありますが、それらデメリットを上回るメリットといえば気楽さでしょう。予約なんていらないから、とにかくその当日電車に間に合うように家を出て、電車に乗って、ぼさっと車窓の風景眺めていてもいいし、睡眠不足を解消すべく寝てもいいし、こういう気楽さが私は好きなので、電車移動を選んだのでした。そもそも私の場合、スーツケースが必要になるほど荷物を持ちませんから、電車の方が楽なのです。着替えその他をつめたリュックとカメラバッグだけが荷物。実に程よいパッセンジャー気分で中国への旅はスタートしたのでした。

関西空港着

Osaka 関西空港に着くとさあいよいよ旅行に出るという感じが強まって、これはきっと関西空港という場所がすでに私にとっての非日常であるからでありましょう。この印象はとりわけ国際線フロアに顕著でありまして、たとえまわりにいるのが日本人ばかりであったとしても、やはりここは半分日本ではない。日本人の集団をかき分けるようにして移動するストレンジャーたち。彼らを見ると、ああ、これから私も彼ら同様ストレンジャーになるのだと、そういう思いを強めるのだと思います。私の旅に求める最大の要素、日常からの脱出あるいは私自身から日常が剥奪されるという、そうした予感がいよいよ強まっていく瞬間です。

 けどまあ、今回はツアーでの旅行ですから、あんまりそうした逸脱感はありません。指定された団体受付カウンターにいって待っていれば、だんだんと同行者が集まってきて、全員集まった時点で移動、荷物の検査を受けようという列に並びます。ここで面白いことに気付きまして、それはなにかといいますと、おそらく東南アジア系の人たちだと思うのですが、その人たちの荷物にカップヌードルの箱が山と積まれているのです。ひとりやふたりではありません。またひとりで何箱も持っている人がいて、これを見て私は日本の昔を思い出しました。子供の頃、アメリカを感じさせるマクドナルドのハンバーガーはちょっとした贅沢品で、そしてシェイク。今ではなんともない、あえて食べたいとも思わないものがその頃は憧れの食べ物だった。多分、その東南アジア系と思しい彼らにとっては、カップヌードルがそうなんだろうと思って、なんだかちょっと複雑な気持ちになりました。今はご馳走のカップヌードル、これがいつか彼らにとっての日常になる日がくるでしょう。その時に、彼らの胸に去来する思いは、今の私が思ったものに似ているかも知れません。

Osaka 受付ロビーを抜けて、免税店なんて私にはあんまり用がありませんからパスして、国際線のロビーへと移動します。そこで衝撃の物品を発見です。売店でカップヌードルを売っています。それも箱売り。よっぽど人気があるんですね。お土産としてなんだと思いますが、こうして空港ロビー売店でも箱売りされるなんて、本当に人気なんだと恐れ入りました。

 ロビーでは少し待ちました。この時点ですることはもうあまりなくて、売店で水をもらってきて飲んで一服、窓外に飛行機の行き来を見ながら時間の過ぎるのを待っています。

中国国際航空機内にて

 私は飛行機に乗るとき、マイレージを貯めるあのカードをなんでかいつも忘れてしまうのですが、それは今回も同じ、ああ、やってしまったと思っていたら、そもそも中国国際航空はこういうのに提携してないそうでして、ああよかった、というのも変かな。まあ、忘れたのがちゃらになったのはよかったという話です。

 搭乗の際、どこの飛行機でもそうですが、新聞が各種取りそろえられていたのですが、中国語の新聞は読めないし、かといってスポーツ新聞を読む気にはなれないしで、結局持ち込みませんでした。でも、同行者が読んでいたのを機内で横から見て、それは中文の新聞だったのですが、漢字のおかげでちょっとくらいはわかるものです。そうしたら、ゲームの記事を発見。真・三國無双の記事でして、どうやら東京ゲームショウで出展されたものらしいですね。真・三國無双BBだったと思うのですが、いずれにせよやっぱり中国の史実演義で人気の三国志です、ゲームも中国では広く受け入れられているのではないかと思います。

 さて、機内のサービスに関して、中国国際航空のスチュワーデスはかつては無愛想だったんだそうですね。ですが今回は割合ににこやかに対してくれて、中国のサービスも変わってきているというのが同行者の感想でした。実際、魅力的であったと思います。

 飲み物はリンゴジュースを選択。食事は魚を選びました。そうしたら、パン、ご飯というダブル炭水化物で、白身の魚も柔らかく割合においしかったです。そんなわけで、デジカメを持っていた今回、撮影枚数には余裕があるので写真も撮ってきています。お菓子(饅頭)のなかはこしあんでした。

北京着

Beijing 九寨溝を目指す旅。まずは北京に到着して、けれどこれは乗り換え目的だから、空港から外へは出られません。私にとってはこれが初の北京、空を見れば晴れてはいるのだけれどうっすらと煙っていて、塵でしょうか、実際北京ではきれいに空が晴れ渡って、というようなことは少ないのだと聞きます。

 飛行機を降りて我々旅行者がすることといえば、入国の手続きです。入国に必要な書類やなにかはもう事前に用意してあるから心配はなし。ただ、この入国カウンターというのが人で一杯で参りました。最初、中国人民用のカウンターに並んで、というのはここでも大丈夫といわれたからなのですが、けどカウンターにたどり着いた時点でアウト。外国人用に並べといわれます。そしたらそこがもう一杯。しかも審査に時間がかかるのか、全然列が進みません。まわりを見れば、日本人が山ほど、欧米人がちらほら、そしてアラブ系の人もいらっしゃって、どうもこのアラブ系の人にたいして時間をかけている模様です。しかも運が悪かった。私の並んだ列が特に遅い。隣の列が二人進むあいだに、こちらはひとり進むかどうかなんではないかというような遅さで、しかも並び直すというのも危険な賭けです。私はこういうときは、最初に決めた一点を死守するタイプで、だからもうとにかく遅い遅い。同行者はみな審査を終えて向こうにいるのが途中見えて、参ったなあ。私荷物は手荷物だけだから、先に荷物を受け取りにいっておくれといおうにもカウンター越しだから話も通じない。どうしたもんかなあと思っていたら、制服を着た警備官と思しき男に左袖を引かれました。

 終わった! さよなら皆さん。私は中国の取調室の露と消えます! と瞬間思って、しかし参ったなあ。風貌怪しかったかなあ。などと思いながらその人についていくと、この列に並べといわれます。その列というのは中国人民用の列だったのですが、私が並んだと同時に外国人用に変更。私の後ろに一瞬で長蛇の列ができて、けれどこうして私は無事審査を終えることができたのでした。

 しかし、なぜ私にこうした優遇が? というのはですね、同行の人が交渉してくれたからなのです。その結果、私を率先して通してくれたとそういうわけで、なんでも黙って従順にしているだけではいかんのかもなあ。時には主張することも大切だと、そんな風に思ったできごとでした。

Beijing
入国カウンターへ向かう途中に見た光景。活気があって面白い。
Beijing
入国カウンター、壁には凝ったレリーフがいくつかあった。

飛行機待ちの間

 入国審査を経て、無事中国の地に降り立つことができました。そんなわけで、Welcome北京の看板も嬉しいロビーの風景と2008年北京オリンピックのキャラクターでも。

 さて、無事入国できたのはよいとして、実はここからが長かった。ここで三時間ほど待たされましてね、その待たされたロビーというのは中国国内線の、なんか独立したブースみたいになっているところで、一歩外に出たら滑走路というような場所だったんです。

Beijing
ロビーは結構な人出
Beijing
窓の外は滑走路

 ロビーには本を売るスタンドなんかもあったから、ちょっと見にいったりもしたのですが、さすがに中国語の本ばっかり、日本の漫画の翻訳かなんかがあったら嬉しかったんですが、そういうのはこういうところには並ばないみたいです。それでもぱらぱらとめくったら面白いものもあったかも知れないんですが、けどそもそもこの時点で私は人民元に両替してないんですね。だから本は買えない。おとなしく、じっと待つほかなかったのでした。

 けど、あんまりにじっとしてるのもつまらないので、ロビーにあるいろいろを撮ってみました。

 まずは給水機。海外旅行は生水が危ないなんていいますが、これ、ちゃんとした浄水みたいですね。こういうのだと多分飲んでも大丈夫なんじゃないかなと思います。同行者曰く、以前はこんなのなかったそうで、最近になってできてきたサービスなんじゃないかと思います。

 次は携帯電話の充電器。複数種のコネクタがあるのですが、強烈なのが右の方にぶら下がっているクリップタイプのやつ。これ、クリップで直接電極をつまんで充電せよということなのかと思うのですが、何が怖いといってもどちらがプラスかわからないのです。私はあんまり機械には詳しくないからあれなんですが、プラスマイナス関係なしに繋いだらきっとまずいですよね。それとも機械が適切に判断してくれる? 同行者が中国でも使える携帯を持っていたのですが、さすがにチャレンジするのはやめました。壊れたりしたらことです。

 これは、床、長イスの下にあったコンセントです。プラグの形状が二種類ありまして、ひとつは日本のものが直接差し込めるのですが、けど電圧は220ボルトだったかな。対応しているものならいいですが、100ボルトのみの機械だと壊れる可能性があります。けど、こんなにおおっぴらに電源が露出しているということは、自由に使ってもいいということなんでしょうか。使いませんでしたけど。

 時計です。天井からぶら下がっていました。今日は星期六、土曜日だと書いています。中国の時差は日本とは一時間違いです。

 と、こんな写真を撮ってみたり、ぐうたら寝てみたり、とにかく時間を潰したわけです。そしてアナウンスがあって、電光掲示に案内が出て、搭乗手続きがはじまりました。いよいよ成都行きの便に乗ることになります。

さよなら北京

 搭乗の手続きをしようと列に並びます。ひとりまたひとりとチケットをチェックしていく女性は極めて事務的で、ああこれが中国のスタンダードなのかもなあなんて思って自分の番を待っていたら、なんと、ここで自分のチケットがバーコードリーダーに通らず、二度三度とやり直してやっとクリア。ありがとう、謝謝といったらちょっとばつが悪かったのか、さっきまで無愛想だったお姉さんがちょっと笑ってくれて、なんだか嬉しかった。笑顔を安売りする必要はないけど、やっぱりこういうコミュニケーションがあったほうが楽しいと思います。

 待合室を出たらそこにはバスが待っていて、飛行機へと運ばれていきます。シャトルバスを降りるとそこに待っていたのは細身の小さな飛行機で、そりゃさっき乗ったのはジャンボだから小さく感じるのも当然だってな話なのですが、これから乗るのは国内線であるのだから、これくらいの大きさが相場なのかも知れませんね。

Beijing
私の乗った飛行機
Beijing
さよなら北京

北京−成都

 成都へと向かう飛行機に乗って、自席を見つけて着席すればシートベルトをおしめくださいというのが基本ですが、そうしたらシートベルトの留め具にシールが貼ってあって、それがなんだかかわいかったので写真を撮ってきました。なんか、亀のキャラクターみたいなのですが、ご存じの方はいらっしゃいますか? もちろんこれ、全席にあったというのではなくて、以前この席に座った人が貼っていったものみたいです。なんか、こういう縁も面白いですね。

 ついでに広告。お酒の広告みたい。

 北京から成都までは飛行機でだいたい二時間くらい。ここでは機内食が出ない予定だったのですが、出たのでやっぱり撮影。

 銀紙に包まれたパンと、後はハム、海草サラダ、果物でした。ハムをつまみながら、もそもそとパンを食べて、海草サラダはちょっと味が強すぎたように思います。塩気かな? で、後で聞いた話なんですが、どうやらこのパンというのはそのまま食べるのではなくて、間にハムをはさんで食べるものだったらしいのですよ。私は気付かなかったのですが、上下ふたつにちゃんと分かれるようになっていたんだそうでして、まあハムと一緒に食べたから結果的には一緒なんですが、本来意図されたとおりにできなかったというのは、私としてはちょっと残念に思うところです。果物は桃でおいしかった。桃は好きです。お茶はジャスミンティー。

 食事も終わり、ほどなくして成都に着陸します。飛行機がおりて、空港ビルへと向かう途中にかいま見た成都は霧に煙っていました。どうも中国というのは、北京にしても成都にしても、見事に晴れるということは少ないらしいです。大陸の中の方というのはそういうものなのでしょうか。

荷物の遅い成都空港

 空港ビル、飛行機の乗降口から一階に降りてくると、そこは人でひしめいていて、ちょうど数便が到着したところのようでした。日本人もいれば中国人もいて、トイレにいく人、ちょっと休憩する人、さまざま。私はトイレにいく人のひとりでありました。

 成都空港一階のトイレはなぜか同じフロアの同じすみに二ヶ所分かれてあって、階段から降りてきたところのトイレはめちゃくちゃに混んでいたので、ちょっと離れたところのトイレにいくと並ぶことなく使うことができました。さて、中国のトイレといえば汚い、臭い、ドアがないというので有名ですが、とりあえず今までに使ったトイレ、北京空港待合ロビーのトイレや成都空港のトイレはずいぶんとましでした。さすが、中国政府の肝いりでトイレの改革が進められているだけのことはあると関心。ただ、それでも成都空港一階のトイレはちょっと汚かったかな。でも、昔の国鉄のトイレを思いだせばずっときれいな部類に入ると思います。

 トイレから出て、これからすることはなにかといえば荷物の受け出しです。このとき私はリュックとカメラバックの手荷物オンリー態勢で臨んでいたため荷物を待つ必要なんてまったくないのですが、同行者がある以上自分一人行動なんてできるわけがありません。というわけで荷物を待っていたのですが、そうしたら荷物が全然流れてこない。確か、そう、三番のコンベアに並んでいて、待っても待ってもこない。日本人だけでなく中国人も、その他もろもろの国の人もいらいらしはじめていて、座り込んだり、表示板を確認しにいったり、けど状況は変わらず、荷物も出てこない。一体どうなってるんだー、と思いはじめた頃、拡声器を持った女性がやってきてなにかアナウンスしはじめました。荷物はどうやら一番から出るといっているようです。このアナウンスを受けて、荷物待ちの群衆は大移動。こんな具合でずいぶん待たされたすえに、ようやく荷を受け取ることができたのでした。

 さて、成都からは今回の旅のガイドがつきます(北京空港にもいたのだけれど、その人は空港内の移動をサポートするだけだった)。空港出口に近づけば、山のような人だかり、手にはツアー名や個人名の書かれた紙、看板があって、これはもうどこにいっても目にする風景ですよね。といいながら、私はこうやって現地ガイド(ツアーコンダクター?)と落ち合うのははじめての経験です。

 現地ガイドと無事出会うことができれば、次はホテルへの移動。荷物はここに置いておいてください。私たちはマイクロバスでホテルに向かいます。といって車行き交う車道を渡るのだけど、中国という国は車優先なんですよね。とにかく車の動向を見て渡る。ぼやぼやしてたら危ない(そういえばイタリアもそうだった)。とにかく足早に移動して、駐車場にたどり着けば私たちを待っていたのは、白い小さなバスでありました。

Chengdu
成都空港ロビー。ここで荷物の受け渡ししたわけじゃない。足早に移動しつつ慌てて撮影。
Chengdu
成都空港を出てすぐ。人も行き交うが車も行き交う。油断しちゃ駄目だ!

成都

ホテルへ向かう車窓

 ホテルへ向かう車内、ガイド氏の自己紹介がありまして、ガイド氏の名前は牟さん。挨拶と説明があり、そして両替。一万円で630元だったかな。正直、こんなに使うかなあという心配もあったのですが、けど世の中はなにを差し置いても金です。あって困ることはないだろうし、それにあまるようだったら最後にぱーっと使っちまえばいいと、そういう料簡でもって両替しました。なお牟さんは銀行ではないので、一万では足らんから二万替えてくれとか、五千円でいいやとか、そういう調整は利きません。一万円は一万円、替えるか替えないかという選択しかできません。

 さて、成都の街ですが、広い道がばーっと走っていて、そこを車が飛ばしている、横をみればスクーターも飛ばしている、自転車はむしろ少なく、たまに力車(自転車タイプの人力車)がいるけれど、それももうあまりみることはありません。中国も経済発展して、裕福になりつつあるのでしょう。自転車よりもスクーター、力車よりもタクシーということなのだと思います。

 ここで牟さん情報。日本では原付のカテゴリーに入る電動スクーターですが、中国では自転車のカテゴリーなのだそうです。だから大流行。結構するらしいのですがけどたくさんの人が実際に乗っていて、ノーヘル、二人乗りも当たり前のようにおこなわれていて、それが車道を自動車と一緒くたになって走っている。危ない! けど、これが中国の普通の風景なのでしょう。みんな度胸があるというか、もう本当に普通の感じで走っている。まあ、道も広いし、これはこれで秩序があるのでしょう。なれればなんとかなるものなのかも知れません。

 道の脇をみれば大きな建物もたくさんあって、また人のとおりも繁華で、途中すごい人だかりがあったからなにかと思ったら、あそこは体育館ですとのこと。ははあ、コンサートかと思ったらドンピシャで、果たして誰のコンサートかまでは知れませんでしたが、音楽にせよなんにせよ、こうした文化に対する熱気というのはすごいらしいと聞いていますから、その人波をみただけで熱気の片鱗まで感じたつもりになりました。熱気は街全体にもほのかに漂っていて、もう夜だというのに終わりをみることなく続いている工事。成都ではいま地下鉄を造っているそうで、開通した暁には今以上の活気をみるのではないでしょうか。このあたり、高度経済成長を成し遂げた日本の昭和の勢いに似たものが感じられます。まさしく発展の最中にある中国という感じでありました。

 写真は、信号待ちで隣に停まっていたバス。あんまりに汚かったので写真撮っておこうと思ったら発車してしまいまして、こんなにぶれてしまいました。最初、とにかく汚いから移送しているだけかと思ったら、乗客がひとりありまして、いやあ驚きました。だって、バスの中暗いんですよ。もう一枚は、車窓からみた成都市街です。手前、緑色に伸びる影は、かたちと色からしてタクシーですね。実際タクシーもたくさん走っていて、けど写真左隅に力車がいたりするのがすごくらしくて、でもこれから力車はどんどん減っていくはず。もし彼らが生き残るとすれば、日本の観光地に場違いな人力車が走っているように、観光客向けのノスタルジーを演出するためのギミックとしてかも知れません。少なくとも、地元の生活者が使うものではなくなるだろうと予想します。

ホテルに到着

 成都にて滞在するホテルに到着。ホテルの名前は四川錦江賓館。五つ星ホテルだそうなのですが、とにかくついてみて驚き。ゴージャスなホテルのエントランスには、なんでかインド人がお出迎え。な、なんでー!? これがホテルの格というやつなのかな。なんかターバン巻いてたりしたんですが、本当になぜ中国のホテルでこうしたお出迎えが用意されているのか、とにかく謎。イギリス風だから? とにかく謎です。

 ロビーに入って、とりあえず休息。日本から北京経由で成都にきて、いやあ結構疲れたなあという感じでロビー脇のソファーにいくのですが、そこでまた驚愕のできごと。

 げ、弦楽四重奏!?

 とにかくこういうのみたら写真撮らないわけにはいかない気分なのですが、しかしその後本当に奏者がきて演奏がはじまって、はあ、五つ星というのはすごいなあ。今までそれなりにいいホテルにも泊まってきたけど、インド人が出迎えたりロビーで弦楽四重奏やってたりというのははじめての経験でした。

Chengdu
打ち合わせ
Chengdu
そして演奏

 実際このホテルはいいホテルでして、部屋は広いし、アメニティも充実してるし(ネイルケアセットまであった)、もちろんテレビもあって、NHK BSがみられます。しかも、最終日のチェックアウト直前に気付いたのですが、このテレビはどうもWeb TVだったらしく、Webブラウズもできるみたいな感じなんですね。試せなかったのが本当に残念です。試せないといえば、部屋のテーブルには果物が盛りつけてあって、私はこれをただのオブジェと思っていたのですが、なんとご自由に食べてくださいってものだったんだそうですね。知らんかった。まったく手を付けることなく、本当にただ寝るだけといった感じで終わりました。まあ、旅先のホテルってのはおおむねそんな感じではあるんですが。

 そんなわけで、ロビーの写真をもう一枚。

 この後は、待ちに待った四川最初の食事です。

夕食

 成都は四川省の省都。四川といえば料理が辛いといって有名な土地であります。日本人が食べるにはかなり厳しいとも聞く、唐辛子と花山椒の強烈に聞いた料理。果たしてどんなのが出てくるのだろうと期待半分、不安半分。でもどちらかというと期待の方がまさっていました。だってすごいすごいって聞かされたら、本当にどんなにすごいか体験してみたいって思うじゃないですか。

 そんなわけで料理が出てきました。最初の数皿が以下。

 この時点では辛さはあまり効いておらず、むしろ脂の強さが印象的。肉ですね。肉には結構脂がのっていたんです。他に印象的なものはといえば右上の皿ですが、これがピーナッツの煮物? 炒め物? で、ちょっと日本ではみたことのないような独特な味わい、食感の料理でした。けど、まずいってことはなくて、日本に戻ったらちょっと自分でも試してみようかなと思うような、そんな感じ。でも、実際に戻ってみたら、そういう気持ちはなくなってしまいました。でも、またちょっと食べてみたい。

 四川の食卓は、実に中華料理らしいというか、円卓の真ん中に回転する台があって、そこに大皿がたくさん並べられるというスタイルなのですが、このやり方のいいのはいろいろな料理を食べることができるということで、ちょっと苦手なのはとにかく量が多いということであろうかと思います。実際、この夕食も想像以上の量が出てきて、食べきれるとかどうとかいう以前の問題、無理です。実際次の写真を見ても、新しい料理が何皿か出ているのですが、最初の料理が全然減っていない。

 こういうもてなしかたもひとつの文化かと思うのですが、でも私みたいに食べ物を残すことに罪悪感を感じる人間にとっては正直つらい文化です。

 食事も後半になって、小さな碗に麻婆豆腐と坦々麺が出てきて、これが実に辛かった。量を減らしてあるのは、食べられない人のいることを考慮してのことでしょうね。でも、私にはちょっと大変でしたが、それでもおいしかったです。特に坦々麺はよかった。というか、その前に食べた麻婆豆腐があんまり辛かったもので、もう辛いとかどうとかわからなくなっていたというほうが正しいでしょうか。

 そして最後の一枚。

 一行にこの日が誕生日だという人がいうのでケーキが用意されました。中国のケーキといえば甘いばかりでおいしくないというのが評判ですが、このケーキに関しては果物がたくさん入っていておいしかったです。あんまりしつこくもなく食べやすく、こうしたよそから入ってきた食べ物がおいしいというのは、それだけそこが豊かだということだと思うのですがどうでしょう。ほら、日本でもそうだったと思うのです。

 ケーキの後ろ、写真右上隅にある小さな碗が麻婆豆腐、真っ赤かで辛そうです。そして、ケーキの左、ピーナッツがまだ残ってますね。やっぱり食べる人が少なかったみたいです。

成都にて夜遊びす

 食事をした後、時間があるからこれから成都を回りませんか、ちょうど私の知り合いの妹が成都に住んでいて、その旦那が案内してくれるというからという話を受けて、私も珍しく夜の街に出ようという気になりました。当初の案では、屋台の集まっているところへいくという話でしたが、どうも現在屋台は駆逐される方向へ向かっているらしく、これは中国政府の意向だからしかたがないという話でありますが、実際にはトラブルもあるらしく、警官が死亡したとかどうとか、とにかくちょっと物騒な話も聞いたりしました。

 行き先は残念ながら私は覚えていません。一つ目は繁華なストリート、もうひとつはちょっとした歓楽街? いや、街じゃないか。でもなんか食べ物やなんかが集まっている、そういう場所です。でも、そこにいくには徒歩では遠い、というわけでタクシーを頼むことになりまして、二台呼んで分乗、一台に四名乗るというちょっとぎゅうぎゅうの態勢でのスタートとなりました。

ストリート

Chengdu そして最初にたどり着いたのは繁華な通り。中央分離帯が分ける大路の脇に道が立ち並んでいるのですが、夜も十時半だというのに開いている店は多く、通りを歩く人もそこそこあって、エネルギーに溢れた街だと実感させられました。十時半で開いている店といったら、日本でも普通にあるじゃないかという声も出そうに思いますが、飲食店、飲み屋の類いなら日本でも確かにあると思うのですが、たばこ屋のスタンドとか土産物売っている店とか、あ、それからお茶の専門店も開いていました。こういう、普通日本なら日中しか営業してないような店でも開いてたりするのは驚きで、しかも朝早くから開けるといいますから、この人たちは一体いつ寝てるんでしょう。

 

 けれど、すべての店が営業しているわけではもちろんありません。開いている店、閉まっている店いろいろあって、イルミネーションに彩られた中華風建造物を見ながら、歩いていく道のり、途中激安のマッサージ店なんてのもあって、呼び込みのお嬢さんとちょっと話して、このマッサージ店というのは性的なサービスをするような店じゃなくて、普通のマッサージ店ですよ。二十五元だったかな。とにかく安かったのでいこうか、後日にでもみたいな話になりましたが、多分私はいかないなあ。なんとなく。体調悪いのでマッサージや整体には興味あるけど、なんだか抵抗もあります。ってこれは中国旅行には関係のない話。

 途中、チベット系なのか、土産物を扱う半商店半飲食店といった雰囲気の店によって、けれどここは商品の写真撮影が禁止。偽物を作られないためだみたいなことをいっていた人がいましたが、その辺はどうかわかりません。このストリートで最後によったのは先ほどもいったお茶の専門店。プーアル茶と思しい茶餅が棚一面に陳列されていまして、結構圧巻。ものすごく大きなものもあって、これ、独特の味がしておいしいのですが、人によっては受け付けないかもって感じの味でもあります。ここでは茶道具も売られていて、うちにも紫泥の茶壷や水盤はあったりするのですが、けど一式全部揃えているわけではないから、足りないものを欲しく思ったりもしたのですが、この時点で荷物を増やすのは得策ではないと思われたこと、またこの後どれだけお金が必要となるかが見えなかったことから、見送りました。

 最後に写真を一枚。このお茶専門店にあった置物です。これは金蟾という縁起物で、後脚が一本、全部で三本足の蛙、金蟾はきんせんと読みます。写真ではわかりにくいですが、向かって左の二体が口になにかをくわえているのが見えるかと思います。これ、実はお金でして、ここには写っていませんが、うずたかく積まれたお金の上に座っているようなのもポピュラーです。こうした造形からもわかるように、金蟾にはお金をもたらしてくれる御利益があるといわれていて、結構人気のある縁起物であったりするのです。けど、ちょっとグロテスクかも知れませんね。愛嬌のあるのもいるのですが、結構リアルというか、おそろしげなものも多くて、言い伝えや御利益を知らないとちょっと飾るに飾りにくいものであるかも知れません。

歓楽街

Chengdu はたしてここを歓楽街といっていいものなのか。でも他に言い様がないから歓楽街といいますが、それは入り口、額に錦里と大書された門をくぐった先に広がる一角なのですが、夜十一時半を回っているというのに、なかには活気があって、大人ばかりかといえばそうでもなく、結構若い人たちもいるという、そういうちょっと特別な感じのする空間であります。

 入り口まわりには力車が待機して、中に通れば路地両脇に掲げられた提灯が淡い光を投げ掛け、一種独特の非日常的雰囲気を醸しだしています。

Chengdu この路地の左右に並ぶのは、食事やお酒を提供するお店なのですが、基本的にオープンで外から中がうかがえるようになっているから、いかがわしさやうさんくささはなく、安心と感じられます。また肉の串焼きを売るスタンドがあったり、そうしたちょっとしたスナック(肉はスナックなのか?)をつまみながら散策するのも悪くなさそうな場所。中程には庭園めいた池もあって、風光明媚とまではいいませんが、全体によくできた場所であるなと思います。

 途中バドガールに遭遇したり(なんと中国にもバドガールはいるのだ!)、シアトル系コーヒーショップの看板に驚いたりと、開けていく中国というのを目の当たりにする思いだったりもしたのですが、そういう中に弓を使った射的場なんてのもあって、このへんはなんだか中国っぽくていいよなあ、なんて思っていたらなんとその弓が弩。

 、いわゆるいしゆみであります。英語ではクロスボウ。諸葛亮孔明が考案したとかで諸葛弓弩というらしい。ほら、写真の左側に諸葛亮孔明が描かれているでしょう? けど、この孔明、妙にコーエーチックなのが気になります。ほら、やっぱり中国でも三國無双やなんかは人気があるといいますから。

 現地の兄さんが弩弓撃つところを見学したのですが、これがまあなかなかの威力でありまして、人撃ったら間違いなく殺せるねというくらい。そんな弓が、台に固定されているとはいえ普通に設置されているわけで、これ日本だったら多分もう無理なんだろうなあという感じです。でもここは中国だから問題なし。というか、私の子供の頃には、日本にもこれくらい殺傷力のある射的があったような気がするんですが、記憶違いでしょうか。

 先ほどの池を越えたところから道はふたつに分かれ、この諸葛弓弩の店を終端としたループになっています。池を背にして右側は大人向けのストリート、左は若い人向けのストリートなのだそうです。確かに、弩弓の店を曲がるまではお酒やなんかを飲みながら話しているような、そんな雰囲気の店がおおかったのが、道を左に折れれば、なんだか夜のオープンカフェといったような雰囲気に変わります。むしろ、店というよりかさっきいっていたようなスタンドが増えて、そこでいろいろ買ってきて、テーブル席で食べながら歓談するというようなスタイル。全体に灯が弱く薄暗い中、見た目に若い人が話している、デートコースに最適、そんな場所なのかも知れないなと思います。

 一通り見て、途中土産物屋も冷やかして、けど初日の今日はなにも買わず仕舞い。しおりなんかはお土産によさそうだけど、慌てて買ってもしかたがない。と、そんなこんなで、雰囲気だけ楽しんで帰るのでありました。

かくして成都の夜は更けて

 錦里をでて、タクシーにてホテルに帰還。部屋は相部屋。同室の二人はもう今日は疲れたとのこと、で入浴をパスし就寝、私は騒がしくしないようにシャワーだけ浴びて就寝。かくして成都の夜は更けていきます。

 ここで成都追加情報。成都で泊まったホテルは日本のテレビも見られました。NHKのBSらしいのですが、大河ドラマもやっていて、どうやらタイムラグなしに視聴可能の模様です。本当なら私は、海外にいったらそこの番組を見るのを楽しみにしているのですが、今回ばかりは自分の好きにチャンネルを決めるというのができないので、日本のテレビを見て、けど、せっかく日本から出てきたのに、こんな旅先にまで日本を持ち込むというのはなんかもったいないと思うんですが、これは私が変わり者だからそう思うだけなのかな。

 以上、中国九寨溝の旅。目的地にたどり着くことなく初日は終了です。


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公開日:2006.09.28
最終更新日:2006.10.25
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