一念発起フランス語

耳を鍛えんと、それから脳も

授業五回目にして、低迷するフランス語力

 授業ももう五回目というのに、我がフランス語力といえばどうだ。聞くに言葉を耳はとらえず、話すに言葉は口を出ず。頭の中に渦巻く意識、概念、言葉の渦を、なんの形にもできないまま、ぐるぐるとまわす以外に能のないであるかのようではないか…… まあ、焦らずいこうよ……焦らず……

 てなわけで、五回目なのであります。も少し頑張りたいとも思うのですが、ちょっと頑張りが足りないのか、テキストに現れる練習の類い、文法の理解なんかに関しては問題がないんだけど(そりゃ文法ばかり、何年もやってたからだよ)、そもそものコミュニケーションとなると大問題が横たわっていて、気鬱になります。人のフランス語が聞き取れない。いや、単語レベル、フレーズレベルでのおおまかな理解はできるし、今の会話のテーマがなに、どういうことが話題の中心かというのは分かるのですが、それ以上の理解が無理。だって、そもそも僕は日本語で話をしているとき、一語一語を意識による統制にもとに従えて、聞きそして話すということをやっています。で、当然フランス語でもそれを僕は求めています。でも聞こえなくて全単語を理解できない現状で、それは無理というものです。だから、理解できている自信がない。自信がないから話せない。全くの悪循環なのであります。ああ、昔の分かっても分かってなくてもすらすらと英文を訳していた時代の方が、良かった気がする。いやそりゃ誤解、誤読だらけで問題も沢山あったんだけど、コミュニケーションにおいてはそういう分からんかったところを自分で補足し埋めるという能力が求められるのです。

 さてさて、一言一句を聞き取れず嘆いている僕、もちろん問題は聞き取り能力となりましょう。聞き取りそして答えるという問題で、僕は貝になってしまいます。でも、その僕のできないことをできる人がいるんですよね。人を訊ねて、その人の部屋番号と道筋を聞き取るという問題。とりあえず人の名前が正しく聞き取れないうえに、数字が難しいのなんのって。頭のなかで組み立てなおしていると続きが聞き取れないし、メモしないと忘れてしまう。で、あたふたしている間に問題は全部終わって、ノートには意味不明なメモが山ほど残されていて実に意味不明。なのに、それを聞き取れている人がいる。とりあえず僕は、聞き取りの才能がないね。ソルフェージュも苦手だったしね――

聞き取りの特訓しましょう

 言葉は、文字もまた言葉ではありますが、その本質は音です。文字を持たない言葉はあっても、音を持たない言葉はない。というわけで、聞いて発音できなければ、言葉を学んでいる意味がないのであります。で、聞き取れない音は発音できないという真理もあって、トマティスメソッドという聞き取り能力を重視する教授法もあるくらいです。でも僕はトマティスメソッドは選ばなかった。でも、勉強というのは与えられるのをこなすものではなくて、自分から課題を設定し努力するからこそ意味がある。だから、僕は聞き取り能力を伸ばすと決めました。もちろん語彙も増やすつもりですけどね。

 聞き取り能力を伸ばすということは、耳――つまりは脳を鍛えるということです。沢山のフランス語を耳に通して、その響きの中から有意味の語句を分別する。その繰り返しがきっと力になるはず。指揮者の岩城宏之氏によれば、英語を話せないとならないパイロットは英語を学ぶ時、鉱石ラジオでもって英語のラジオ放送を一日中聞きまくるのだそうです。始めは音の羅列に過ぎない英語が、いずれ単語単位に分別されて聞こえるようになる。それがすべての始めだという話でした。

 なので、僕もフランス語を聞くという試みを、以前からやってました。いや、それでも実際の場に臨んでは足りないのでありますが、やらないよりはましです。でも、フランス語を耳にするって、どうしたら? 簡単に考えても、以下のような方法があります。

  1. ラジオ放送
  2. CD付きテキスト
  3. 朗読テープ

ラジオ放送

 ラジオでフランス語というと、一番手軽なのはNHKのフランス語講座となるでしょう。入門編と応用編が、月曜日から土曜日までの週に六日、二十分ずつ放送されています。もちろん日本語で講座はおこなわれますが、ネイティブによるスケッチがあるので、それを耳にしているだけでもずいぶんと変わるものがあると思われます。

 また、ラジオでフランス語のニュースというのもあるそうです。ラジオではないですが、NHKのBS1でもフランス語放送がある(あった?)とのこと。有線放送でも、フランス語のチャンネルがあるらしいですね。

 僕は放送はあまり利用しないたちなので詳しくはないのですが、受信できるのなら、これが一番手軽な方法でしょう。

CD付きテキスト,朗読テープ

 最近はCDを作るのもただみたいに安くなったので、語学のテキストなんかにCDが付いてくることも多くなりました。なので、そういうCD付きテキストを買ってみるのもよさそう。CDのよいところは、何度聞いても劣化しないということと、頭出しが簡単ということ。自分の聞き直したいところを、何度も何度も反復して、耳に馴染ませるというのは有効そうです。

 なので、僕は一時期携帯CDプレイヤーにこういったテキストを代わる代わるに突っ込んで、通勤通学の途上で聞きまくっていました。こういうことを復活させたらいいのかな?

 朗読テープ(最近はこれもCD)に関しては、残念ながら詳しくないんですよ。フランス語での定番といえば、『星の王子さま』なんかがピンと来ます。他の作品もあるはずなんですが、ちょっと分かりません。

 さて、僕のお気に入りの一本は、駿河台出版社から出ている『金色の眼の猫』。童話とその朗読CDが付いてきます。語りは比較的ゆっくりで聞き取りやすく、とりあえず基本的なことを中心に聞き慣れることができますよ。

 とはいってもさ、聞き取り能力に難ありという人間がいっても、なんの説得力もないんですよね。皆さんは、ぜひご自身で工夫、努力してくださいまし。僕も頑張ります。


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公開日:2002.05.18
最終更新日:2002.05.25
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