テレビフランス語会話が二千一年度に入り、その装いも大きく変化した。中でも最大の変化はファビエンヌ、エリックの降板ではないだろうか。昨年度後半にかけて徐々にその姿を見せなくなっていたファビエンヌの降板は充分予想できたものの、実際に新年度のメンバーから彼らが欠けているのを知ったときは、ショックだった。
「ファビエンヌと歌おう!」はどうなるのだ!?
しかし、心配は無用だった。ファビエンヌに変わり大型新人が登場。それがドミニク。ドミニク・シャニョン氏だった。
ファビエンヌが消えた寂しさは拭えないものの、ドミニクの経歴は注目せざるを得ないものだった。パリ音楽院卒業という肩書きは、驚愕をもって受け止めるに値する。パリ音楽院は、苛烈な卒業条件を誇る世界有数の音楽学校である。作曲、声楽、器楽、ダンスと、まさにミューズの庭ともいえるパリ音楽院を、何を専門にしたかは知れないものの、巣立ってきた彼の歌に興味を抱かずにはおられようか。
四月、満を持して始まったフランス語会話の一コーナー、「ドミニクと歌おう!」。やはり彼は本物だった。どちらかといえば地味、シックな歌い声だが、逆に派手さを払拭して信頼できる安定した魅力が香ってくる。聴くほどに味わいのあるコーナーは、もっと長く彼の歌声を聴いていたいと願う僕にはあまりにも短すぎて、翌週を心待ちにさせ、翌月の新曲に気持ちを馳せる。一年が十二ヶ月と、あまりに短いことを悔やむほど。ああ、もっと聴いていたい、と思うのだ。
ファビエンヌの、ちょっとよたった素人らしい素朴さも魅力だった。歌は専門家だけのものではなく、誰もの口に上るものだと改めて思わせてくれたのはファビエンヌだった。しかしドミニクの安定した歌声を聴くと、やはりうまい歌はよいと文句なしに思ってしまう。
でも欲張りの僕は、二人の歌を違う魅力でもって聴いていたかったと、思ったりしている。それに、ウラジーミルがいてくれれば完璧だ。
フランス語の部屋「いつかフランス人に」へ トップページに戻る