三年生鑑賞教材
Johann Sebastian Bach (1685-1750)
今回鑑賞する、カンタータ『目覚めよ、と呼ぶ声あり』BWV140は、三位一体節後第27日曜日に演奏するために作られた曲である。三位一体節後第27日曜日には、マタイによる福音書第25章第1-13節に関する説話が行われる。そのため、この曲は「マタイ25,1-13」に基づいて作曲されている。
この様な曲のことを、機会音楽という。
「機会音楽」……( )
ヨハン・セバスチャン・バッハは、当時作曲家としてよりもむしろ、鍵盤楽器奏者として、名が通っていた。当時の鍵盤楽器奏者、特に教会オルガニストは、即興演奏の技術が重要視され、バッハもまた即興の名手であった。
教会オルガニストの仕事は、本来的にはコラールの伴奏であった。しかし、教会にあるオルガンが巨大化していくに従い、コラールを伴奏することよりも、オルガンのための楽曲を、独立して演奏するように、その地位を変化させていった。
コラールの調を呈示するために演奏されていた前奏部分は、しだいに長大なものになり、信者が教会に入り始めてからコラールが始まるまでの間に、演奏されるようになった。
ここで演奏者の即興演奏の技術が必要とされたのである。