どちらの調子かわからない

 エレキギターを買って、それはたいそう嬉しかったのだが、だが弾くとなるとまた別問題だった。私は基本的にフラットトップ寄りの嗜好をしているとでもいうのか、弾くのはもっぱらドレッドノートばっかりで、せっかく買ったLPC-80はほとんどしまわれたままだった。弾きたいとは思いながらも、ギターを用意し、アンプを出してきて、繋いで、チューニングして、というのが非常に手間で億劫で、だから遠ざかっていたというわけだ。フラットトップだとアンプとケーブルの接続という手順を省くことができる。そんなこともあって、私はフラットトップ(アコースティック)寄りなのだ。

 けれど、それではいけないと思い立って、この夏は結構エレキギターも弾いている。以前買っていたヤマハの『大人のギターマガジン ギター倶楽部』を引っ張り出してきて、これはエレキもアコースティックも対象だから、非常に使い勝手がよかった。特に入門となるような記事がありがたく、エレキに関してもスケールや練習フレーズやなんかを手っ取り早く知ることができる。とにかくこれという目標もなくはじめたギターだから、こういう入門の糸口があるのはありがたい。というわけで、私はこの夏はノーキー・エドワーズ(ベンチャーズのギタリスト)の特集を見ながら練習した。まあ、あんまり充実しているとはいえない簡単なものだが、入門なんてこんなもんでいいのだ。これができるようになったら、『10番街の殺人』をやると決めている。

 さて、そんな極めて悠長なギターの練習をしていたある日、アンプから出る音が大きくなったり小さくなったりするという現象に見舞われた。私の使っているアンプはVOXの小さなものなのだが、これがゲインをフルに回してやるといい感じにクランチっぽくなって、なんだ、オーバードライブ・スイッチいらんじゃないかという感じなんだが、これが突然音が小さくなったかと思えば、ひどいときには音が出てこなかったりもする。一体どうしたんだろう。私は不安になった。あんまり弾いてこなかったために、コンデンサでも駄目になったのか。あるいはギター? アンプはさほど高いのではないから買い替えも含めてやり口はあるが、ギターだと嫌だなあ。どうせ修理するなら、内部配線をいいのに変えてもらったりしようかなあ、ついでだから、なんて思っていて、ここでピンときた。別のギターで試せばいいんだ。

 そんなわけでZO-7を引っ張り出してきた。いそいそと繋いでアンプのゲインとボリュームを上げる。ついでギターのボリュームをあげてやれば、なんだ、ちゃんと音が出るじゃんか。チューニングをして、小半時も弾いてみて、レスポールに比べれば音が鋭い感じで出るなあ、同じハムバッカーなのになあ。レスポールのリアで弾いてもここまで鋭さは感じられない。そうか、使い分けが利きそうだ。とこんなことを考えながらも、実は内心憂鬱。だって、ZO-7で問題がないということは、つまりレスポール側に問題があるっていうことなのだから。

 意気消沈して、レスポールを再度つなげてみた。アンプ側ゲインとボリュームを上げ、ついでギター側ボリュームあげて弾いてみた。すると普通に音が出る。フロントはオッケー、リアも問題ない。フロント+リアでも異常はなかった。その後何時間か弾き続けて、それでも問題は再現しなかった。

 一体あの現象はなんだったんだろう。結果的に問題がないからよかったが、少し不安になったのは間違いない。


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公開日:2006.09.11
最終更新日:2006.09.11
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