昨年末、人前でギターを弾く機会を持ったのだが、そうなるといい加減な演奏ではいけないと、その曲ばっかり練習するようになるのはまあ普通の話だろう。常なら弾くこともなさそうな曲を、仕方なしにといったらあまりに消極的だが、求められるままに練習する。おかげでレパートリーが広がった、そのままなら弾けなかったかも知れないものができるようになった、そういうメリットもあるから、こうした演奏機会を持つというのは悪いことじゃない。
しかし問題もある。それはなにかというと、曲ばっかり練習しがちになるということだ。基礎練習をやらなくなる、あるいは基礎練習にかける時間が少なくなる。するとてきめんに技術は落ちる、おそろしいことだが事実なんだ。本番を終え、基礎練習に戻ると、音階がスムーズにいかなくなっている。きれいに弦を捉えることができない、とまではいわないが、下手になっている。ああ、こりゃいかんなあ。というわけで、最近は基礎練習のやり直し。
スケールを全調、ローポジションとハイポジション、それぞれにきっちり弾いてやると、楽器というのはこれほどまでに? と思うほど応えてくれるようになる。響く、鳴る、それは凄まじいほどだ。本番を前に、こざかしく細部を直すくらいなら、ざっとスケールをやるほうがどれほどいいかわからない。しかし万全で挑める本番というものはなく、また本番当日にならないとわからないこともあり、しかも当日や前日といったタイミングで曲が増えたりすることもあって、基礎練習するような余裕は失われたね。自分一人でやるんなら、そうしたイレギュラーの発生を極力押さえることもできるだろうが、人と一緒にやるということは、そうしたイレギュラーの発生頻度をあげるということに他ならず、なんか毎回苦しめられてるような気がするぞ。おっと、少し話がずれた。
このところ、まとまった時間をとれないことが多く、練習時間も少なくなり気味だが、それでも隙を見て基礎練習をするようにしよう。楽器が鳴るということを感じ、そうした状況を作ったうえでさらに練習できるようにしたい。まあ、希望だけどね。
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