フラメンコ時計

 フラメンコを本腰入れて習いはじめてから早1ヶ月半が過ぎた。侮っていたわけではないが、弾くほどに難しさがわかっていくというのは正直なところ。ギターの技術的な部分、それも基礎的なところでつまずきと惑うこともあれば、それ以前の問題として、フラメンコの音楽の捉え方に悩むところも頻繁。なんといっても、基礎中の基礎であるコンパスがとれない。舞曲の基本をなすリズムパターンをコンパスというが、私の今練習しているアレグリアスにおいては33222という変拍子、12拍をひとつの単位として捉えなければならない、それが難しい。

 人はこれをどうやって練習するのだろうと疑問に思った私はインターネットに解を求めて、そしてフラメンコ時計なる不思議な言葉にいきあたった。

フラメンコ・メトロノーム

 フラメンコ時計とは、33222の12拍を時計に見立てて拍子を取ってくれる機器であるらしく、つまりはメトロノームのことらしい。一般的なメトロノームだと、振り子が左右に行き交うことで拍子が刻まれるが、それではフラメンコを練習するには不充分だ。変拍子を音だけではなく、視覚的にも把握できることが望ましい。そう、時計の1から12までの文字盤を使って、拍子を目で見てわかるようにしてあるのがフラメンコ時計だ。

 しかし、そうした機器はそもそも需要が少ないからか、調べても売ってるところがわからない。代わりに見つかったのが、コンピュータ上で動作するソフトウェア。その名もFlamenco metronome Compás。なんと、ありがたいことにWindows用だけでなくMacintosh用もある。しかも、サイトを見るかぎり、主となるものがMacintosh版のようじゃないか! わーお、こりゃ嬉しいや。

 私は、フラメンコ時計の仕組みを知ったときに、なんとか頑張れば自作できるかななどと考えたのだった。拍を1から12まで数え、それぞれの拍でそれぞれの文字盤をハイライトさせる。そして3, 6, 8, 10, 12拍目にアクセントを置いてやればいいわけで、これだけならばなんとか作れなくもなさそうだ。けれど、フラメンコ・メトロノームを見て考えを改めた。素晴らしすぎる。拍をとるという基本的な機能が備わっているのは当然として、しかしそこにとどまっていない充実の機能。テンポの変更、音量の変更、音色の変更、アクセントのOn/Off、基本拍のOn/Off、33222以外のリズムへの対応、これらは当然のこととして搭載されている。

 これ以上になにがあるのかというと、ギター伴奏をやってくれるというんだね。しかも、楽譜付き。五線とタブがついて、アップダウン等の指示もついて、もちろんこれで習えば弾けるようになるというほどフラメンコは甘くない(即興の要素があまりに強いからだ)とはいえ、導入に関してはかなりの力となってくれるのではないかという気がする。

 このソフトが24.50 EUR で手に入る。日本円にして約4000円。ソフトウェア作るのにあれこれ悩んで時間費やすこと思えば、想像以上にリーズナブルな価格だ。正直なところ、私は今このソフトウェアにかなり心引かれている。


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公開日:2007.07.04
最終更新日:2007.07.04
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