薬指で支えない

 奏法の改善シリーズ。今回は右手のピッキング時の支えについて。

薬指で安定させる

 私は指弾きをする際、第1弦上に置いた薬指を支えにして弾いていた。これは『演奏能力開発エクササイズ アコースティック・ギター』のDVDでジム・ケリーがやっているのを見て真似してのことなのだが、確かにこのやり方にはメリットがあるのだ。昔のフォーク全盛期には、手や小指をブリッジに置いて支えにするなんて教えがあって、このやり方で弾く人も多いと思うが、これだとどうしてもブリッジよりでしか弾くことができず、サウンドホール付近の一番いい(と私の考える)ポイントや指板よりの位置を使えない。これは非常にもったいないことで、だから私には1弦での薬指支持が有利と思われた。弾くポジションを自由に選べるからね。

考え直すきっかけ

 考え直すきっかけはふたつ。一つ目は先日shimio3さんにお会いした際にいただいたアドバイス。ドレッドノートであるがおとなしくまとまった響きのする私のD. Custom Sだが、もっと強く弾いたほうがその個性を引き出せるのではないかとおっしゃって、確かにそうだと思った。実は私も薄々感じていて、先日から試している録音であるが、入力レベルを確認するためヘッドホンでモニターしながら弾いていると、どんどんピッキングを強くしていく傾向にあるときづいたのだ。つまり、楽器の正面から音を聴くと、強くピッキングしたほうが鳴るとわかるということなのだろう。

 ピッキングを強くしようと考えている最中にいった浜田隆史氏のライブ、氏の演奏は本当に楽しくわくわくとさせるものであるのだが、鳴りだけに着目しても素晴らしく、で、彼の手を見ると、完全に浮かして弾いている。

 私は長く薬指を添えて弾いてきて、すっかりそれになれてしまったから、外すと右手が不安定になって弾きにくく感じる。実際、第2弦以下でのスリーフィンガーはできるのに、第1弦を加えたスリーフィンガーは少しぎこちなくなって、これはなぜかというと、薬指の支えがないからだ。だから薬指の支えを常に期待しないといけない。だけど、これはあんまりよいことじゃないよね。

薬指で支えない

 そのような理由で、私は薬指で右手を支えるのをやめた。そうしたら、音も少しずつ生き生きとしてきたように思う。今は確かに弾きにくいのだがいずれなれるだろう。とにかく弾け。弾いてなれるのが先決。なれれば、より生き生きとした音を探してみようじゃないか。


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公開日:2006.02.11
最終更新日:2006.02.11
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