豊田勇造 with YUZO BAND

 昨年、ひょんなところでひょんなきっかけで出会った豊田勇造氏のライブがあるよと端書が届いたので、いけるようならいきたいなあとテーブルに端書おいて、ずうっと保留だったのをやっぱりいこうと決めたのは実は今日のこと。基本的に私は決定をぎりぎりにまで遅らせるようなたちなので、大抵決断はその当日ということになって、どうしてもいっておきたいようなものである場合は、前売りを買うとか、あるいは友人を誘うとか、私の都合でキャンセルしにくいような状況を作るのだが、今回はそれができなかった。けれど、それでもいこうと決定したのは、本当によいことだったと思う。

場所そして日時

 場所は、去年のBirthday Liveと同様、京都の拾得。このライブハウスは面白くて、今までいったどのライブハウスとも似ていなくて、雰囲気もそうだしメニューもそうだし。以前も書いたけれども、玄米定食なんてのがあるんだ。実際に定食やらカレーやらを食べている人は多くて、けれど私は飲み物にしようと思って、今日は余裕なく急ぎ足で拾得に向かったものだからとりあえず飲みたかった。で、なににしようかなあ。酒は基本的に飲まないことにしているので、ノンアルコールのなにかにしようかとも思ったけれど、なんでかデンキブランなんて頼んでしまっていて、デンキブランを飲んだのは実は今日がはじめて。よくある話で、興味、好奇心に負けたというやつなんだ。

 日時は、2006年4月29日土曜日。18時会場19時開演。私は開演20分前に入った。

ライブについて

 会場の雰囲気はやっぱりなんかどこか独特で、それはきている人の雰囲気も手伝っているんだと思う。年齢層ちょっと高め。一癖ありそうな人もなんだか多くて、やっぱり一癖ある私にとっては安心しやすい場所と感じられて、こういうところはやっぱり他のライブハウスとは違うのだ。あるいは勇造さんの人柄なんかな。いずれにせよ、肩を張らずにいられるのはありがたいことだと思う。

 開始の曲は『二階のおばさん』。あんまりにインパクトのある歌だったから、ちょっと忘れられない。二階のおばさんはギターが嫌い、って実によくありそうなシチュエーション。この歌はメンバー紹介もかねていて、ちょっとした台詞のやり取り、そして最後に落ちもつけられていて、こういうコミカルはいいなと思う。やっぱりここでも肩ひじ張ることなく、自然体が楽しいなあと思う。

 勇造氏の歌の味というのは自然体なんじゃないかなと思った。『二階のおばさん』ばかりではなくて、他の歌でもやはりそういう感じは強くて、いいたいことがある、だから歌ったという直截さが心地いいのだと思う。歌を作るときにはきっと産みの苦しみや呻吟があるのだろうと思うけれども、できあがって歌われるときにはそういう事情は消え去っていて、歌がストレートにくるという感じで、そしてその歌というのは言葉と渾然一体になっていて、ああ私は去年も思ったのだけど、いらんことを考えるより前にいいたいなにかがあるなら歌うべきなんだ。私はいつもいらないことを考える、だから思うところがあったとしても詞になるまでにうやむやにされてしまって、それじゃいかんなあ。自由さが足りない、自然じゃない。けれど勇造氏の歌に感じるところがあるというなら、私にもきっと自由さや自然さがあるんだと信じたい。

距離の近いという感覚

 二部のはじまろうというときに、ブームスタンドのマイクを支える棹がずり落ちてきて、私は一番前の列に座っていたから直しにいったら、思いがけず勇造さんから話しかけられて、ああなんてありがたいのだろう、私のことを覚えていてくださった。十三駅で会ったこと、話したこと、ライブのチラシ、そしてこのサイトのこと! まいったな。私は誰も読んでいないという前提で書いているものだから、しかも本人やその関係者が読むなんて思いもしないでいるから、いやはやまいりましたとさ。会場には、このサイトの記事を読んでくださっている方もいらっしゃって、だからここで事前に謝っておこう。申し訳ございません。いや、なんも謝ることはないのだと思うけれども。

 去年のBirthday Liveでお会いした方にもあうことができて、お互いに覚えていて嬉しかった。なんか会場全体から、そういう人懐こさが感じられて、それは客席だけでなくて、ステージと客席の距離においてもおんなじで、演奏が終わって、今日のゲストのサックス奏者の延谷さんといろいろお話したりして、勇造さんには買ったCDにサインをしてもらったり、なんか和気藹藹として楽しくて、よいと思えるライブにはそれぞれの楽しさ、よさがあるのだけれども、この人たちのライブにおいてもそうなんだね。他とは違う、特有の空気があって、そしてそれはすごくいい雰囲気なのだよ。

 なので、私は勇造氏のライブがあったりすると結構まわりに宣伝したりもするのだけれども、自分の興味を相手にも持ってもらえるというのは希有なことで、そうかじゃあ私もライブにいってみようといってくれた人はまだ一人もいなくて、くればきっとよさがわかるのになあ。ほんとう、難しいもんじゃと思います。


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公開日:2006.04.29
最終更新日:2006.04.29
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