ネックの安定

 楽器の安定を考えると弦は緩めるべきでなく、楽器の負担を取り除くなら弦は緩めたほうがいい。初年は弦を緩めなかった私だが、突然宗旨替えして弦を緩めるようになった。さて、それで楽器に変化はあったのだろうか。

弦を緩める影響

 練習後に弦を緩めることで、確かに楽器に変化が生じていると分かる。一番分かりやすいのはやはりネックで、主に音程の変化として現れてくる。

練習終了後

 練習を終えると弦を緩めるのだが、その緩め方というのは第1,2,5,6弦を1音下げにするというもので、つまりDGDGADチューニングにして楽器をしまうわけである。

 この時、きっちりとまではいわないが、そこそこちゃんと音を合わせておく。ボトム弦の形成する空5度が非常に気持ちいいとは前にいった通りだ。しかし、翌日楽器を取り出すとこの5度が響かなくなっている。楽器が動いて、音程が変わってしまったためだ。

 弦4本を1音下げすることにより張力が低下し、ネックが逆反りぎみになった。ネックが伸びることで弦を引っ張り、片づけたときよりも音程が若干高めになっている。ああ、楽器が動く、安定しないとはこういうことかと思った。

調律後

 レギュラーチューニングにすると、その時点でまた楽器が動き始める。きっちりと合わせたはずの音程が、少しすると狂ってしまう。伸びていたネックが若干順反りすることで、弦がたるみ音程が低くなっているためだ。

 この変化は、だいたい30分から1時間くらいかけてゆっくり進むようなので、なら練習を始める一時間前くらいに軽くEADGBEに合わせておけばいいと分かった。自室から練習場所に楽器を移動し、ここですぐにケースから出さず、環境の変化に徐々に慣れさせる。30分ほどしたら楽器を出し、ここで軽く音高をレギュラーに戻し、スタンドに立ててテンションの馴染むのを待つ。その間は食事でもなんでもしておけばいいので、特に時間のロスがあるわけじゃない。

 私は練習の最初に、必ず弦の移動を伴わない音階練習をする。まあ有り体にいえばホセ・ルイス・ゴンサレスの序章を準備練習にあてているわけだ。この時点ではまだチューニングをしていない。1弦ずつしか使わないので、チューニングの必要がないのだ。これをやっつけたらチューニングする。1時間ほど音出しをしているので、弦は安定しているし、後でチューニングが動くということもないし、特に不安定さに悩まされたりすることはない。

フレットのびりつき

 ただ、困ったことがひとつ。それはフレットのびりつきだ。

 今使っている楽器の癖で、4弦11フレットがびりつきやすいというのがあって、これが結構気になって困る。ところが、弦を緩めるようにしてから、このびりつく範囲が広がってしまった。なぜか? まあ単純な話で、弦のテンションから開放されて、逆反り方向へネックが伸びてしまってるせいだろう。

 弦を緩めることによる問題は、今のところこれくらいなので特に気にすることはなく、また別の見方をすれば弦高が低めになっているということなのだから、ハイポジションでの演奏性は上がっているかも知れない。あんまりにびりつきが気になるならロッドで調整すればいいだけだし、弦高低めにセッティングされるフラメンコギターはびりつきも音色のうちだ。気にしなければ、気になるものではない(なんかおかしなこといってるな)。

 ま、実際の話、気になってるわけだが、ネックにねじれが出てるわけでもないようだから、気にしすぎるのもあんまりよくない。程々に長い目で見ていけば、いいポジションも見つかるだろう。


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公開日:2004.03.06
最終更新日:2004.03.09
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