新しいMacintoshを買っても古いMacintoshを手放すことが出来ず、たかだか一年で二台のMacintoshを所有することとなってしまいました。ということは、これで以前から試してみたかったことが出来る。やってみたかったことというのは、コンピュータが二台あってはじめて出来ること。そう、ネットワーキングです。
Macintoshはネットワークに繋げることを前提として作られたコンピュータでした。といっても、現在の主流であるイーサネットとか、またインターネットのような広域にわたるものではなく、AppleTalkという実にささやかで、でも実用的なネットワークの機能を標準搭載していました。特別なハードを付け足す必要もなく、標準搭載のプリンタポートをケーブルで互いに結びつけるだけで、一番簡単なネットワークが完成するのでした。
コンピュータを買って一番最初にした仕事は、古いMacintosh Performa550のデータを新しいMacintosh LC630に移すことでした。アプリケーションならインストールしてやれば済みますが、自分の作成したデータに関しては手で移さないといけません。ですが、フロッピーディスクでいちいちコピーするのも面倒なものです。データがそれほどの量でないのならフロッピーの方が便利ですが、数メガにわたるものとなると途端に面倒になってきます。
というわけでネットワークの出番でした。プリンタはすでに購入済みだったので、プリンタに付属していたケーブルを利用できました。二台のMacintoshのプリンタポートをクロスケーブルでつなぎ、セレクタからAppleShareを選択。AppleTalkを「使用」にチェックを入れるともう準備は完了です。
共有コントロールパネルを開き、共有を開始。互いのコンピュータのハードディスクを共有ディスクに選ぶと、セレクタのAppleShareで相手のコンピュータのディスクにアクセスできるようになるのです。
共有ディスクにアクセスすると、それはデスクトップにマウントされ、後は自由に利用することが出来ます。コピーしたいファイル、フォルダを探し、コピー先にドラッグしてやるだけでコピー開始。待つだけでデータの移行は完了です。
ネットワークがあまりに簡単に成功したことに気を良くして、二台のコンピュータを常にネットワークした状態に出来ないかと考えはじめたのも無理ありません。当時はネットで対戦できるゲーム、マラソンが大流行だったこともあり、当然僕もネット対戦可能なゲームに対する興味を持っていました。
日本橋で、電話のモジュラーケーブルを使ってネットワークを構築する、フォンネットというキットを買ってきました。コンピュータは二階の自室と一階の共有スペースに離れておいてあったので、10mのモジュラーケーブルも購入。しかもモジュラーコネクタの加工を出来るツールを買ってしまいました。
自分でモジュラーコネクタを、説明書を見ながらコードの両端につけ、これで後は二階から一階にケーブルを這わすだけでネットワークは完成しました。
ですが、世の中というのはうまくいかないもので、うちの家族にネットゲームに理解と興味を示すものがいなかったので、せっかく買ったフォンネットコネクタは使わないまま今も置いてあります。10mのモジュラーコードは電話のモジュラージャックとTAを結線するという、実に本来的な役目に戻っています。
以上のようなネットワーキング。iBookを買ったときにも同様の手順でデータの移行を実現しました。というのも、iBookにはフロッピーディスクドライブがないから、ネットワークでデータを移すのが一番便利だったのです。
LC630にイーサネットボードを挿し、イーサネットでネットワーク。
最初のプリンタケーブルでのネットワークから随分と時間が経ってしまいましたが、今も昔も同じ手段を選択したところが、妙におかしく感じられるのは僕だけでしょうか。今回は以前と違い、LCをファイルサーバ代わりに使い、プリンタも共有。少しはネットワークらしいネットワークを組めています。
やってみるとけっこう簡単で便利なネットワーク。複数台コンピュータを所有している方、ネットワークすると目先が変わってなかなかいいものですよ。