サイト運営というのはひとえに忍耐力と持続力が求められるもので、特にこのこととねのように、特定のテーマを扱わないサイトにおいてはより顕著である。時にはなにも話したくないこともあるし、話そうにも話すことがないことだってある。頻繁にある。けれど自分で決めた更新のテンポを、誰が求めているわけでもないというのに、かたくなに守り続けて早五年。そもそも、決まったテーマがなく内容の充実も図れないからと、量に訴える作戦に出たのが失敗であった。質は量に優先するというのが真当な理想であるところを、量を質に優先させることで、質の低さをごまかすことにしたのだ。当初の話したいことがまだあった頃ならともかく、この数年に関しては失敗だったと思う。忍耐力持続力というよりも惰性という表現がぴったりとくる、味気ないスープをさらに薄めたような昨今。もう、こんなサイト運営なんてやめちまおうかと、何度思ったことか知れない。
この数年、あちこちのサイトにweb拍手と銘打たれたボタンがあるのに気付かれた方もいらっしゃるかと思う。web拍手とはweb拍手公式サイトにて提供されているサービスであり、サイトの訪問者から感想として拍手、――この場合はボタンのクリックをいただこうというものだ。
この仕組みの巧妙な点は、メールや掲示板、あるいは最近のBlogに見られるコメントと比べてもなお手軽であることだろう。いざなにか感想をと思っても、実際にそれを文章にして送るというのは億劫なものである。いや、手間を嫌うわけじゃないんだ。むしろこの場合問題になるのは、いきなり掲示板に書き込んだりしてなんか迷惑になりやしないか、ましてやメールを送るなど、という遠慮であり気遣いであり、こうしていろいろに心を砕くうちに疲れて、感想は誰にも告げずそのまま胸に抱くままとなってしまう。
web拍手は、先にもいったようにボタンを押すだけの簡単仕様だ。ボタンを押せば、なにか一言をといって求めるフォームもあったりするが、なに名前やメールアドレスを入れる必要があるわけでもない。ごく短いメッセージのみを送る。気軽である。
このように、web拍手というのは、サイトに訪れる人間にとっておそらく最も気楽な、サイト運営者に声を届けるシステムであるといっていいのではないだろうか。
サイト運営にかかる心の支えを得たいという運営者は多いだろう。別に称讃が欲しいわけじゃあないんだ。けれど、誰かに読んでもらえているという確証が欲しい。ただただ送り出すばかりに疲れてくると、そんなことを思いはじめてくるものなのだ。
ここにweb拍手の出る幕がある。うちのケースを見てみればわかるが、掲示板は閑古鳥が鳴くような状態である。これはサイトオーナーがアクティブなほうでないという事情もあるのだが、それにしても閑散としている。いや、閑散としているのはいいのだ。たまにはメールも貰えるし、別に寂れていることも気にはならない。だがそうはいっても、誰かが読んでくれているという確証が欲しい。手応えが欲しい。
だから、web拍手を設置してみた。なにか書いてくれとはいわない。もし、このサイトの記事を読んで面白いなと思ったときなどに、押してもらえればそれで充分だ。メッセージがあればきっと嬉しいだろう。そして、それらは、サイトを続ける上での大きな支えになってくれると思う。
web拍手CGIをダウンロードしてみて、とりあえず以前から気になっていた部分を手直しした。
web拍手の送信完了画面が文字化けしていることがある。これは単純に、そのページで使われている文字コードが指定されていないためなのだが、文字コード自動判別のまずさについては定評のあるSafariであるから、まず間違いなく文字化けする。ちょっと困っていた。
文字コードの指定をする要素を付け加えるのだが、どうせならValidなHTMLが出力されるようにしよう。center要素やfont要素などを片っ端から取り除いて、けれどスタイルの指定をしたいと思うこともあろうことから、外部CSSファイルへのリンクを作成して、とりあえずここまではいつものやり口だ。なに、変更するのはprint文だけだからそんなに大変じゃなかった。
大変なのはこれからだった。どうせならフランス語にも対応させたいななんて思って、utf-8なCGIにしようと思ったのが間違いだった。私の使っているホスティングで提供されているPerlはActivePerlのバージョン5.6(Build 629)なのだが、これがutf-8に中途半端にしか対応していないのか、Perlのスクリプト中に日本語文字列が入るのが悪いのか、とにかくエラーが出る。何行目でエラーという表示にしたがってソースを読むんだけど、なにが悪いのかまったくわからない。いろいろエスケープさせてみたり、とにかく試行錯誤して、日本語混じりのutf-8は使わないほうが無難だと判断。Shift-JISに戻したのだった。
とまあ、こんな感じで必要ないことに疲れ果てながら、web拍手は無事設置されたわけだ。
イラストを描く人のサイトなんかでは、web拍手送信完了のページに専用のお礼イラストが掲示されていることもあって、これが結構嬉しいんだ。どんなイラストがあるんだろうと、それを楽しみに拍手を続けたり、ここでも感想のメッセージを送ったり、あのお礼イラストの効果というのは実は大きいと思っている。
イラストになるかどうかはわからんが、うちでもなんか気の利いたことができないか、これから考えてみようと思ってる。どうなるかわからんけど、なにか用意したいと思っている。
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