Windowsをリカバリする日

 職場に着くとまず第一にコンピュータに電源を投じる。朝一でメールチェックを済ませておきたいのと、不意の調べものにも対応できるようスタンバイしておきたいからだ。

 今日もいつもどおりにコンピュータに電源を入れ、起動の間に他の瑣末な用事を済ませようとしたら、どうもコンピュータが立ち上がっていないらしい。見れば不正な終了があったようで、スキャンディスクが働いていた。このコンピュータは個人に与えられたのではなく、あくまでも共用のものなのでこういうこともたまにはある。この職場は、決してコンピュータに強い人間ばかりではないので、こういうのもいつも通りだ。

 と高を括っていたら、今度ばかりは様子がちがった。不審に思いALT、CTL、DELの同時押しでリスタートをかけたら、コマンドプロンプトで立ち上がってしまった。コンピュータのいうことには、起動に必要なファイルが破損しているらしい。

 突然のことに正直言って参ってしまった。なにしろWindowsに関してはまったくのビギナーなので、この事態にどう対処してよいのかがわからなかった。

 というわけで、手始めに付属のCD-ROMとマニュアルの類いを集めることから始めることにした。悪いことに手元にあったのがサポートCDとリカバリCDだけ。サポートCDはこの際なんの役にも立たない。残る手段はリカバリだけ。となればデータの確保をしなければならない。

 幸いにも、データはMy documentに集めてあるので、それさえ無事ならなんとかなるだろう。DIRで確認すると、どうやらMYDOCU~1というディレクトリが、目当てのMy documentらしい。ディレクトリを移動して確認するとデータはすべて無事のようだ。とりあえずこれらのファイルを、Dドライブにコピーすることにした。

 コピーということなのでCOPYコマンドを使ってみたのだが、どうやらこれでは、ディレクトリ最上層にあるファイルしかコピーできないらしい。仕方がないのでXCOPYを試してみたところ、それが不可能。どうやらXCOPYコマンドが組み込まれていないようなのだ。これは困った。それに、現在日本語環境にないので2バイト文字が化けてしまっていて確認できない。埒があかないので、同型機を利用して起動ディスクを作成した。これで日本語環境が出来たというわけだ。

 しかし、この起動ディスクでもXCOPYコマンドは使えなかった。XCOPYもだめBACKUPも使えない、COPYコマンドでいちいちコピーしようにも、日本語は表示できるだけで入力できないのだ。これでは日本語名のついたディレクトリを指定できない……

 仕方がないので、VectorにアクセスしてDOS用のファイラーをダウンロードする。LHAで圧縮されていたので、Win上で解凍してFDに保存。問題のダウンしたマシンで走らせると、うまい具合にコピーしてくれる。一安心と息をついた。次いで、メールデータとアドレス帳をバックアップしようとして\Windowsに移動して、息を飲んだ。ファイル名がぐちゃぐちゃ。ディレクトリもファイル名も、およそ人間が読んで判別できるものではなく、しかも機械が読んでも判別がつかないらしく、ファイラーが落ちてしまう始末。メールとアドレス帳は放棄するという決定が下った。

 必要なデータのサルベージも終了し、後はWindows環境の復旧だ。リカバリCDの説明を読んでみるとプライマリパーティションを削除しなければならないらしい。って、いきなり削除かいや。そのまま上書きはしてくれへんのんかい。と文句をいっても仕方がないので、FDISKでプライマリパーティションを削除しようとしたら、パーティションが切ってある状態でプライマリは削除できないということだった。

 よく読めば説明書にもそう書いてある。ということはあれかい。ハードディスク全消去かい!?

 しかしあきらめの悪いのが性分。FORMATでCドライブのフォーマットだけはすましてしまう。そこへWindows98のインストールディスクでもってOSをインストールしてやれば、と考えたのだったがそれがどこにもないというのは痛すぎやしないか? 勘弁してくれとうめきながら、FDでデータをすくい上げることを決意。だがFDのストックも決して多いとは言えない。と、そこで目に入ったのがMacintoshだった。Macintoshのハードディスクにコピーすればいい!

 FD三枚を使っての、大サルベージが開始された。とはいってもやっぱりFD。ちまちまとしかデータを運べない様は、バケツリレーといったところだろう。DOS、Macintosh間を移動すること十数回でデータの移行は完了。そして、FDISKをタイプ。後は、説明書に書かれたとおりにCDから起動。次々と現れるダイアログに対し、あきらめがちに応対して待つこと一時間強。Windows環境の復旧には成功した。

 反省する点は多い。バックアップを頻繁にとっていれば、慌てることなどなかった。しかし、使用できる記憶メディアがFDだけという環境で、頻繁なバックアップなど考えたくもない。RかMOを買ってくれ。

 DOSからコピーしたために、ファイル名が12バイト制限にひっかかってしまった。今度からは、拡張子を入れて12文字以内の、アルファベットと数字だけのファイル名にすることに決めよう。

 それにしても、Windows98になってからリカバリCDしかついてこなくなったのには腹が立つ。商品出荷状態に戻ります、データは失われます。こんな乱暴な話もないだろう。正直、今も腹立ちが収まらない。とそれはさておき、説明書を真に受けずにプライマリパーティションをフォーマットした段階でリカバリ出来たのではないかと、今になって思い始めている。

 まあ、次はもっとうまくやるさ。


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公開日:2001.07.19
最終更新日:2001.09.02
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