【タイトル】 ウィザードリィ リルガミンサーガ
【発売元】 ローカス
【ジャンル】 RPG
【価格】 \5,800
【ハード】 プレイステーション
1981年にリリースされて以来、数多のユーザーを魅了してきた生ける伝説、古典的名作の移植版です。ゲーム内容はあくまで原典に忠実、それに触れる必要はないでしょう。
ただ、その原典がパソコン版というところに、ファミコン版Wizを最高峰と仰ぐ僕には少々難ありでした。Wizの原点に回帰できることは、このソフトをハードごと買わせたくらいに重要なことです。ですが、アイテム名とモンスターがパソコン版のものしか用意されていないというのは、少々サービス不足ではないでしょうか。操作の点でも、後ろを振り向く途中にいったん横を向くのが、とにかく邪魔に思えてなりません。
そういった些細としかいえない部分が逐一引っ掛かったのが残念です。幾多のユーザーの思いに全て答えることは不可能でも、可能なかぎり多くの選択肢をユーザーに与えて欲しかったです。
ですが、ここには色褪せない魅力があります。語りえぬ深さが確かにあるのです。
以上400文字でした。
以下、無責任な感想をいくつか。
すがた、ハードは変われど、やっぱりWizはWizでした。果てのあるはずの迷宮に広がる、果てなき冒険のロマン。文字とパラメータに過ぎないはずなのに、あまりにも雄弁に語り息づく冒険者たち。
これらはWiz以外の何ものでもありません。
モンスターグラフィックはファミコン版で使われていた末弥純氏のものが流用されています。素晴らしい臨場感でもって、あなたに迫ります。
タロットの知識が必要だったり、文字入力が必要だったりしたことが原因で、少々簡単にアレンジされたファミコン版。リルガミンサーガでは、それらが全てオリジナルのままです。
僕はタロットも繰りますので、そのような謎などに後れは取りません。まさにそれでこそ求めていたものの真の姿です。
ひとりずつ泊まる必要がないので、実に便利です。これは快適でした。
ファミコン版ではマカニトで虐殺可能だったポイゾンジャイアント。リルガミンサーガではマカニトもしっかり無効化対象に入っていますので、ポイゾンジャイアントが手強いのなんのって。
心胆寒からしめる戦闘が、まさにここに息づいています。
けど、初心者には厳しいだろうなあ。
僕にとっては「切り裂きの剣」や「真っ二つの剣」であるはずの武器が「ロングソード+1」、「ロングソード+2」。ストイックなところはいいんだけどさ、少々風情がなさ過ぎないかね。Macintosh版のWizだって、"Sword of Slicing", "Sword of Slashing" だったんだぜ。こちらを選べるようにもして欲しかったよ。
それに、呪文名が「ラツモフィス」が「ラテュモフィス」、「マロール」が「マラー」。別にいいけどさ。どうせこっちは英語に変えてしまうから。
これはハードの制約なのでいっても始まらないのですが、強制的に毎行動時セーブ(戦闘時除く)だったファミコン版とは違い、セーブしないと記録されません。おかげでちょっと楽にはなったけど、厳しさが減って残念。
まあ、セーブ&ロードをしなければいいだけの話。大した問題ではありません。
上でもいってましたが、振り向く際には後ろに向くまでに横向きを経ることになります。ダンジョンをポリゴンで表示しているときはそれでもかまわないのですが、線画にしたときに一瞬自分の向きがわからなくなります。回転床やワープに踏み込んだような気分がするのです。
慣れればいいんですが、どうもなじめないところでした。
いや、これはむしろいい点なんですが、少々親切すぎた気もするんですね。Wizの楽しみには、初めて拾った正体不明のアイテムを使うときのどきどき感もあると思うんですが、アイテム博物館をのぞいたらアイテムの効果が親切に書いてあったりします。
ま、いいんだけどさ。どうせアイテム全部把握してるし。
なんか、ストーリーに一貫性を持たせるためにアレンジされてませんか? それともわざとファミコン版ではあいまいに表記されていただけなのでしょうか。
多分違うと思います。僕の中のWizはあんな背景ではなかった。
なんか、因縁みたいになってきたのでやめますが、非常にいいゲームではあるんですよ。僕が文句をいっているのは、自分の中にある世界とこのディスクの中にある世界が違う、というそういう愛着あるがゆえの文句なのです。
だから、別のユーザーからすれば、これこそがWiz。ファミコン版など邪道の極みだ、という意見があっても不思議ではありません。
ライトユーザーには決して勧められないゲームですが、それでも一度やる価値はある、といいきれるくらいの名作なのは確かです。
ぜひ一度プレイしてくださると、Wizファンとしてはうれしいかぎりでございます。