【タイトル】 機動戦士ガンダム戦記
【発売元】 バンダイ
【ジャンル】 STG
【価格】 2002.8.1発売 \6,800(限定版\9,800)
【ハード】 プレイステーション2
前作のよいところが抽出された好感触の一本。ストーリー後追いからミッション中心になったことでテンポよく遊べるし、オープニングムービーやインターフェースなんかもよい仕上がりで、バンダイ=糞ゲーメーカーの印象はもはやない。素直にアクションゲームファンにお勧めできる。
とはいうものの、残念なところもないではない。ミッション数が少々少く感じてしまうのだ。一通りクリアするだけを目指すなら、さほどの苦労も努力もなしに終えることができるだろう。また多数収録されたMSにしても、大半が白兵戦型と個体差が少ない上に、それぞれの性能差がありすぎて、同じ系統ばかり使うことにもなりかねない。もう少し個性がでてくれれば嬉しかった。
だがやり込んでいけば、楽しみ方が分かってくる。ミッションクリア時の戦績、MSの癖。それらにこだわることこそが楽しみに直結する。そういう意味で、これはやはりガンダム好きのためのゲームである。
以上400文字でした。
以下、無責任な感想をいくつか。
一年戦争時代の、地上用モビルスーツがてんこ盛り。連邦は一部を除いてジムとガンダムばかりだけど、ジオンともなるとザクからゲルググまでのラインナップが嬉しい(ギャンはやっぱりいないけど)。やっぱり、選べるユニットが増えるというのは嬉しいもんだし、そのモデリングがしっかりしているというのがなによりです。ガンプラ世代の僕には、これだけでもうお腹一杯ですよ。
加えて、一部隊が三機編成にあらためられているところが、意外と大きかった。というのも、この変更によってガンタンクやゾック、ザメルといった、ソロでは活躍しにくい長距離支援型モビルスーツの運用度が各段にアップ。適所に配置されたこいつらの活躍はさすがの一言。魅せてくれますな。
前作のタクティクスバトルでは、ユニットの武装変更はできませんでした。ですが、今作ではそれが可能。ドム、ゲルググにマシンガンを装備させることもできれば、ガンダムハンマーで無謀に戦うことも可能。強力な武器は連射がしにくくなっているなど、与えられた条件に応じた選択が求められるなど、遊び方の幅が広がっています。
連邦編のミッションとジオン編のそれは、相互に関連しあっています。ジオン編にビッグトレー破壊ミッションがあれば連邦編に防衛ミッションがあるなど、単純ではありますが、こういう些細なことが僕には嬉しかった。マニアックですか、そうですね。
前作『機動戦士ガンダム』のタクティクスバトル・ジオン編に咲いた一輪の花。あのオペレーター嬢が今回も健在。ゲスト扱いではありますが、しっかりと出てきてくれて嬉しい。やっぱ、人気あるんでしょうね。
ゲストついででいえば、アムロ、シャアといった初代ガンダムキャラだけでなく、ドリームキャスト版やOVAのキャラクターも出てきて、戦闘中にからんでくるので、そういう点もちょっと楽しいかも。世の中、マニアだらけです。
ザク、ジム系統の白兵戦機が大半を占めるために、選ぶ楽しみが少なく感じられました。中長距離支援機も用意されているとはいえ、ガンタンク、ザメル、ゾックはもう完全に砲台。中距離支援機はガンキャノンだけ。もう少しでも、バリエーションが欲しかったところです。
正直なところ、ユニットの性能差がありすぎて、状況に応じて乗り換えるという必然性が感じられませんでした。
連邦編ではガンダム系、ジオン編ではゲルググにビームライフルを持たせておけば、下位モビルスーツの出番はまずありません。連邦はどうせ似たようなのしかいないからいいとしても、ジオンともなるとグフ、ドム系の出番がなくなるわけでして、せっかくのラインナップが生かせないというのがもったいない。水陸両用モビルスーツや寒冷地仕様などの差別化が図られるなど、いろいろな工夫も見られただけに、この点はちょっと残念でした。
ミッションはやさしめで、クリアするのが目的ならば、さくさくと進んでいける程度でしかありません。クリア後のIFミッションでも、敵モビルスーツがたくさん出てきたとしても、勝てないわけではない。むしろモビルスーツが出れば出るほどSランクが簡単に出るようになるので、簡単という印象は強まります。
なのである程度慣れてきたら、輸送機撃墜ミッションをグフとイフリートで挑むとか、終盤ミッションに陸戦型ジムで出るとか、こうやって自分で難度を調整して楽しむ。逆にいえば、こういうところを楽しめなければ、少々あっさりしすぎのゲームになります。
一昔前ともなると、この手のキャラクターもののゲームには駄作が多いというのが定説でした。ですがこの数年になって、非常によい出来のものが増えてきた。このゲームも、そういうものとして捉えてよいと思います。
難度は低めに押さえられているので、アクションゲームは苦手、でもガンダムは好きという人にも受け容れられやすいでしょう。ある意味、前作及び今作の純アクションゲーム『ガンダム』はライトゲーマー向けに、別系統にあたる『ジオニックフロント』は高難度ゲーム好きに、という差別化、住み分けが図られているのかも知れません。
画面二分割対戦や2プレイヤーミッションなんかも用意されているので、兄弟友人と一緒に楽しむのもよさそう。ゲームとしての敷居は低いので、大勢でわいわい気楽に楽しむのがよさそうなゲームです。