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Lの季節
◎作りが丁寧でセンスが良い
【タイトル】 Lの季節 A piece of memories
【発売元】 トンキンハウス
【ジャンル】 ADV
【価格】 1999.8.5発売 \6500
【ハード】 プレイステーション
プレイ時間:約13時間30分
ゲーム進度:約35% トゥルーエンド1回
現実界と幻想界、世界観を異にする二つの世界で起こった事件。それらは個別に語られながらも、互いに有機的に絡み合い物語を深めていきます。その構成力は見事といえるでしょう。しかし特筆すべきはシステム面です。ロード時間を意識させず、常に確認できる人物相関図やシナリオ分岐マップ、バックログは呼び出しも快適です。難解な語句には注釈もついている親切設計。しかしこれらがなによりも物語りを効果的に演出するための用意であるというところに、作り手の一歩ぬきんでたセンスを感じさせます。
ビジュアルはCG色が強く敬遠したところもありますが、イラスト、実写、緻密なCGが用途によってうまく使い分けられ、妙なリアリティを産み出すことに成功しています。音楽も自己主張しすぎることなく好感が持てました。
シナリオも丁寧、作りも丁寧、ビジュアル、音楽も適切。キャラクターに引かれるところがあれば買って損はない一本といえるでしょう。
以上399文字でした。
以下、無責任な感想をいくつか。
良かった点
- 天羽 碧(あそう みどり、と読みます)
彼女の為に買った様なものです。シナリオははっきりいって期待していませんでした。どれくらい期待していなかったかというと、雑誌で取り上げられた瞬間に欲しくなって予約までして発売日開店直後に買ったというのに、プレイ開始は発売三日後(つまり昨日です)だったというくらいです。
- 人物相関図
なぜか人物相関図が楽しくて好きでした。天羽のためだけに買うかどうかで迷って、DPS-Dの体験版の作り如何で決めることにしました。そのときに一番期待していた口出しシステム以上に楽しかったのがこのL2で呼び出せる人物相関図です。なんで好きなのかは不明です。まあ好きにこれといった理由はないので。
天羽目当てで買った人はいても人物相関図目当てで買った人は稀でしょう、きっと。
- 吹奏学部が出て来るところ
現実界のキャラクターで吹奏学部に所属している女の子がいます。
いやあ、吹奏楽出身なもので、つい。
あと音楽が結構重要な役割なのでいいなあ、と、、、
- 3DMAP
これがシナリオ分岐マップです。ポリゴンで描かれてまして、結構自由に動かせます。達成状況が分かるとか分岐状況が分かるとかという実用目的以外に、動かして楽しいとかきらきら光って奇麗とか、3DMAPモードから出るときに演出が素敵だとかでかなり好きです。
- カメラが出て来るところ
いやあ天羽さんのカメラがいいなあと思ったりなんかしてまして。普通、高校生が持つもんやあれへんやろ、と思っていたらちゃんとフォローされていました。さすがです。作りが丁寧。
実は写真が趣味なんです(風景専門)。
ちょっと困った点
- 文章作法上の問題
例えば「つややか」という形容詞が連続して違うものに対して使われていると、なんだかなあと思います。 それとせっかくの絵付き声付き効果音付きなんだから、人物の声や髪質等の印象をありふれた言葉で形容するよりもプレイヤーごとの印象に任せてもらえたほうがよかった。冗語に思いました。
- キャラクター格差の強さ
キャラクターには声付きと声なしがありまして、ちょっとその格差は激しすぎるんじゃないかな、と思ったんです。たしかに結構登場人物も多いお話しですんで端役まで全員に声を付けろとはいいませんが、結構重要な役回りなのに声がなくて、そんな人が声付きの人と対話するシーンなんかはちょっと残念でした。
それと、主人公に声が付いててもよかったんじゃないかな。
ちなみに声の付いた男キャラは一人もいません。
- メッセージ早送りが口出しシステムを飛ばしてしまうところ
これは結構難儀でした。二回目プレイなどでは過去に読んだことのある文章を早送りすることが出来るのですが、この早送りが曲者でした。
初見の文章に来れば止まりますし選択肢でも止まります。ですが口出しモードにはいるためのマーク(七角形の宝石)がでても止まらないのです。
だから結構口出しをしたいプレイヤーは大変です。気を抜いたらあっという間にすぎますので。
というわけで、僕は計四回エンドテロップを見ていますが、早送りはほとんど活用できませんでした。もう文章覚えそうです。
てなわけで、せっかくレビューを400字で書いても意味がないくらい長くなってしまいましたね。
ではこのへんで。
snowdrop 99/08/08(初出:@NIFTY 某パティオ)
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