『Lの季節2』をプレイして三日目、というか二日目の夜半。もうちょっとがんばれば最初のクリアにこぎ着けられるのではないかと思い、睡眠時間を削ってチャレンジしてみた。その感想。
というわけで、例によって例のごとく、ニューロマンシーボタンを置いておくので、私の進捗状況を参考に、見る見ないを判断していただきたい。なお、今回はばりばりのネタバレでいきます。容赦はしません。
幻想界において、バッドエンドをひとつ、ノーマル(グッド?)エンドをひとつ見たところ。ともに澪泉エンドであり、ルートはブロックの少ないほうを通っている。具体的にいうと、グッドエンドは澪泉 (1)。
容赦なくネタバレしますというのは、つまりはこれが批判的な文章になるからだ。私は批判をする際には、できるだけ具体的になにが悪かったかを書くようにしている。具体的に書かれない批判は、ただの非難におちいる危険性を持つからだ。ゆえに、容赦はしません。
あ、いきなり余談で申し訳ないけれど、容赦はしませんとすごんですぐに、ま、待って、となる星原さんはかわいくて仕方がありませんな。と、このシーンに覚えがないという方は、ここで読むのをやめるべきであろうかと思う。
さて、一応ひとつシナリオをクリアしてみたわけだが、それが少々微妙な気分であるのだ。というのは、私の読んだシナリオに些細な破綻を感じてしまったからで、フラグ管理がうまくいっていないためなのか、あるいは単なる見落としなのか、それまでに通ってきたルートでは明かされていない事象が既知のこととして扱われるようなシーンが散見されたために、正直戸惑いを隠せないでいる。
最初に私の辿ったルートを説明しておこう。まずはバッドエンドから。心霊管理局の許可を得て、双葉とともに現実界に向かった後、はぐれた双葉を探して校舎裏に移動、河瀬に遭遇、シナプス・エンジニアリングを喰らい、記憶を封じられた状態で帰還。後は選択肢らしい選択肢が出現しないままに、新任務、双葉捕獲、バッドエンド。という流れ。
これがあまりに後味悪かったので、校舎裏からやり直し、トライ&エラーの繰り返しで、河瀬を突破、新聞部で天羽さん、上岡に出会い、上岡いい男だなあ、つうかやっぱり天羽 / 鈴科エンドを前提としてるわけか、いろいろ思いながら、逃亡、屋上で星原に出会い、やられ、舞波優希に怒られながら帰還。その後はバッドと同じルートを辿り、双葉の話を聞き協力すると約束して、メインルートに合流、再度現実界に向かい、星原さんに見つかり、怒られて逃げ出し、彼女を巻いて、作戦決行し、河瀬に見つかり、逃げ帰り、双葉捕獲され、九門ひとりで現実界にいって、星原さんに助けを求め、河瀬、香野が合流し、星原さんの偉大さを見せつけられながら、彼女一人を犠牲として事件を解決、帰還、双葉に出会い、将来決意し、ええーっ、この後味わるいのがグッドエンド!? という流れ。
最初に気になったのは、バッドエンドに向かうシーン、双葉にニューロマンシーを実行したところでの検索キーワードに、それまで一度たりとも出てこなかった覚醒の種というワードが現れて、なんだなんだ、いきなりなんかようわからんけどネタバレか!? 驚いた。
次は、屋上で星原さんに警告されるシーンにて。この時点では九門は星原さんについて知らず、名前も???と表示されているのに、テキストに星原の名前が表示されるところ。けれどこれは些細なミスだ。無視できる範囲。
そしてこれからがきつかった。バッドエンド回避してからのテキストに、一度もニューロマンシーを実行していないしその機会もなかったにも関わらず、双葉の記憶に改ざんの跡があったことが、普通に語られる。しかも数度。現実界校舎内にて星原さんと遭遇後逃亡するシーンにおいて、同一テキストが二度表示され、その二度目がフリートークマーク付きだったからフリートークに入るが、それがいったいなんの意味があるのかわからんという、単純なミス? まあこれは無視できる範囲。
河瀬、香野との接触は極めて少なかったにも関わらず、かなりの情報がやり取りされているようなところも気になったし、現実界における意識不明事件の犯人が双葉であるのはいいとして、幻想界においては今回も桐生が犯人? それとも一年前のことをいってる? しかしなぜそれを九門が知っている? などなど、明らかにされていない部分についての言及がどばどばなされて、なんだこりゃー、と思って正直面食らった。
正直なところ、あのかなりのブロックを飛ばして進行するルートに関しては、荒っぽさが気になってしまったわけだ。おそらく、校舎裏で河瀬に出会い、ニューロマンシーで抜き、その後天羽にはニューロマンシーを決行しないというのが、このルートを成立させる条件だと思うのだが、正直こちらは潰しておいたほうが正解だったんじゃないか? 少なくとも初回プレイ時には、このルートはオープンせずにおいたほうがよかったと思う。
ここから先は推測になるが、校舎裏を避け、図書室もしくは中庭経由で新聞部にいった場合、天羽をニューロマンシーで抜かないかぎり、屋上で星原に遭遇させられてバッドエンド直行になるんではないかと思っているんだが、だとしたら天羽を抜かないことでバッド確定としておいたほうがむしろ親切だったと思う。少なくとも初回では。そう思うほどに、雑なシナリオになってしまっていて、正直残念としかいいようがない。
しかし、欲をいうならば、前作同様、初回プレイ時にはバッドで確定でよかったのではないかと思うのだ。初回にはバッドにしか行き着かず、そしてもうひとつの世界をプレイしてはじめてグッドへのルートが出現するというやり方だ。なぜそういうのかというと、ネタバレが酷いんだよ。正直、現実界はプレイしてないからわからんよ? けれど河瀬は香野がSE使えることをどの時点で知るんだい? 今回は前回と違い、幻想界の人間と現実界の人間が直接に出会うというストーリーで、ゆえに最後は両者が協力するというものだから、片方の世界のクライマックスは、もうひとつの世界のクライマックスでもあるわけだ。そして、我々はまだプレイしていない側の世界の秘密を、いきなりそれと明らかにされてしまうわけだね。ネタバレがシナリオにビルトインされているんだわ。
もちろん、私は現実界を未プレイだから、上記の批判は的外れかも知れないことを充分に承知している。むしろ、的外れであることを望んでいるといってもいい。的外れとわかった暁には、その旨済まなかったと謝るつもりでいるから、今はまずは以上、思ったことを書いてみた。
そしてもう一点。以前から星原さんはスペシャルなキャラクターだったわけだけれど、今回はそれに輪をかけてスペシャルに、強大にされてしまっているような気がして、すごく不憫と感じてしまう。特に澪泉 (1)ではそれが顕著で、九門も自ら認めているように、プレイヤーはむしろ事件解決に役立っていない。けれどそれでもシナリオを閉じる必要があったから、星原さんを前作以上にスペシャルなキャラにすることで解決した。なのにこれがノーマル以上、あるいはグッドエンドというからたまらない。この星原さんの扱いは、私にはしわ寄せとしか感じ取れず、さすがに後味が悪かった。この後味の悪さは、前作の東由利バッドエンドに匹敵する。身の潔白を証せず、退学していくというエンドだった。プレイヤーの手の届かぬところで推移する事件は、プレイヤーひいては主人公の無力を強調し、ヒロインふたりを脱落者とすることで、後味の悪さを際立たせて終わった。これがバッドなら文句はないよ。けどなあ……。
といったわけで、シナリオをひとつ消化して、私は少々不服なのだ。この不服を消し去るべく、攻略を続けたく思う。しかし、星原さんの万能感は極まってるなあ。彼女一人で、心霊管理局に匹敵しそうな勢いだものなあ……。