この学校に入って六年、楽理だけでも四年、あっと言う間でした。今井は昔はサックスなんぞ吹いていましたが、それが楽理に入り大学院まで修了するとは。自分自身でさえも思いもよらぬことでした。勉強きらいなのにねえ。いい加減に、なるようになれとばかりに生きてきたのに、それでも細やかながらも成果をあげることを出来たのは、僕を導いてくれる何かがあったからだと思う、自分一人で決めて、自分一人で進んできたんじゃなくて、大きな流れがあってうまくその流れに沿って進むことのできた、不思議ななにかを感じるのです。そしてそのなにかというのは人との繋がりなんかではないかなと思うのです。
音楽は音と音の関係の芸術だなんていうけれども、だったら人間の世界も同じかな。ひとつひとつがばらばらでは意味を成さない、だからこそその関係を大事にせなあかんのでしょう。もう少しいろいろ知ることできたかなと後悔、人も音楽もどちらも難しいです。
(初出:楽理クオータリー)