ある日こんなメール

 ある日こんなメールが来ていた。

 なんだか面白そうな問題が送られてきたので送ってみます。すでに知ってたらごめんなさい。

 という書き出しで始まってその後に問題が続くのだが、それはこんな問題であった。

 父、母、二人の息子、二人の娘、召使い、犬という構成の家族があって、河を渡らねばならない。ところがそこにはボートが一艘だけで、一度に乗れる人数は二人だけだ。しかも、ボートを操れるのは父、母、召使いの三人だけ。

 簡単にわたれるじゃないかと思うものの、この家族にはちょっと問題があって、父親は母親がいないと娘を殺してしまい、母親は逆に父親がいないと息子を殺してしまう。さらに召使いがいないと、犬は全員を殺してしまうという。

 ひとりも犠牲を出さずに、河を渡るにはどのように渡ればいいだろうか。

 この問題を受け取ったのは夜の一時頃だっただろうか。これから寝ようというときにこういう問題をもらって、ただでさえ寝つきが悪くて参っているのにまったく、という心境だった。でも、その日は寝た。翌日は仕事だから。

 翌日仕事先で、まだ業務が本格的に始まっていないことをいいことにこの問題に取り掛かった。問題を送ってくれたやつがいうには、この問題が解けるとIQ150なんだそうだ。こんなことを言われて後に引けるものではない。とにかく文句を言いながらでも、一時間ちょっとで問題をやっつけたのだった。

 自分が解けると人間いい気になるもので、この問題を人に出しまくった。人が解けずに苦しんでいる姿を見て喜ぶわけで、われながら悪趣味だが、問題を出すというのは元来こういうものだ。

 そうしたら、その日の夜またメールが届いた。送信元は、今日調子に乗って問題を出しまくった相手のうちのひとりだ。

 サブジェクトは「お返しの問題だよ!!!」。

 ここに十二枚のコインがあって、その中の一枚が偽のコインなんだそうだ。真贋を見分ける鍵は重さだけなのだが、偽コインが重いのか軽いのかは分かってない。

 ここにある道具は天秤だけで、しかも三回しか使えない。

 さあ、どうする?

 といわれたって、これから寝るつもりだったんだってば。


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公開日:2000.09.15
最終更新日:2001.09.02
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