ロボットがうちにやって来る日

 長く閉ざしていた目を開けあたりを広く見渡してみると、知らないうちに世の中はすごい勢いで進んでいた。技術が進み、今迄出来なかったことが実現されようとしている。例えばロボットやなんかは、もう数十年のうちに一般家庭に入り込んでくるだろう。

 そう思うようになったのは、ホンダのP3を見てからだ。P3の存在は知っていたが、あんなにもしっかり歩くものだとは思ってもいなかった。いつまでもよちよち歩きだと思っていたロボット技術は、コードの束縛から解き放たれて、自分で考えて歩き出すまでになっている。

 世の中は思っていた以上に進んでいる。

 IBM からは日本語をかなりの精度で認識し、データに変換してくれるソフトが発売されていた。定価は一万二千円。完全に一般ユーザーの元にまで音声認識ソフトが降りてきている。

 ヒューレットパッカード社では、原子レベルでのテクノロジー――ナノテクノロジーを利用した集積回路の研究が進められており、あと数十年という単位で人間との会話を可能とする知能が実現されるだろうとのことだ。

 ホンダでロボットの開発が開始されて十四年、人間のサイズで人のかたちをもって歩くロボットがこうして身近になってくると、わくわくせずにおられないのは僕だけだろうか。

 この調子で技術が進めば、後数年のうちにもっとスマートで、もっと身軽に自在に歩くロボットが、我々の前に現れるはずだ。

 そう、僕はロボットの来る未来を待ち望んでいる。それは何故?

 僕達の子供だったころ、僕らの夢の中でロボットはずっと身近で、常に友達だった。決して裏切ったりうつろったりしない、そういう友達としてロボットは僕らのそばにいたのだった。

 もちろん彼らのようなロボットは、当分の間、我々の身近にやって来ることはないだろう。でも、不完全にせよ、人間の模倣に過ぎないものにせよ、人の姿を映して彼らが僕らのうちにやって来る。そんな日が来ることを僕は心待ちに、それが実現されるまではどんなことがあっても存えたいとさえ思っている。

 そしてその日が来たら……僕は彼らを我が家に迎え入れたいと思う。


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公開日:2000.08.28
最終更新日:2001.09.02
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