僕は京都に住んでいる。歴史的都市である京都は、かつて首都で文化の中心地だった。そして京都には、祇園祭という世界的に知られた大きな祭がある。
祇園祭は、七月いっぱいかけておこなわれる、災厄病苦を祓うための宗教行事だ。祭のクライマックスは七月十七日の巡行であり、三十を超える大きな山鉾が京都の町を行進する。巡行の前夜もまた楽しみで、宵山、宵宵山と呼ばれるこれらの夜、人は頭上を見上げながら街を歩き回っている。明るく照らされた山鉾、たくさんの屋台出店の類。祇園囃子も聞こえてくる。
祇園祭に出かけるのなら、傘を忘れてはいけない。なぜなら巡行や宵山には、必ずといっていいほど雨が降るからだ。実際、今年も降った。けれど、僕はあえて傘を忘れることをお勧めしたい。雨宿りをしている間、君のそばにはおそらく雨の止むのを待つ人がいるだろう。京都の町衆か観光客かはわからない。だけど確かだと思うのは、これがコミュニケーションのチャンスということだ。
(初出:Les douze mois au Japon, mais selon moi,オリジナル:フランス語)