日本の秋は台風を心待ちにしている。台風は大きな災害であるが、わたしたち日本人にはそれが必要なのだ。
台風は、日本南洋上に生まれた熱帯性低気圧である。その年の、生まれた順に番号の付けられるそれは、八月の終わりから九月末にかけて、日本に上陸してくる。われわれは、台風の進路に対して興味津々だ。天気予報は、一日中、進路予想を伝え、わたしたちは台風のやってくるのを待つ。大雨と大風を恐れながら、学校や仕事が休みになることを期待しながら、そして取り立てて理由もなしに。
わたしたちにとって、台風は災害であると同時に恵みでもある。もし台風による雨が降らなければ、水不足に苦しめられることだろう。台風は、取り返しのつかないような被害ももたらすものの、わたしたちの風土にとっては欠くことの出来ないものなのだ。
台風が過ぎた後は、いつもいい天気。
(初出:Les douze mois au Japon, mais selon moi,オリジナル:フランス語)