不登校児童数が過去最高

 文部科学省の調査によると、不登校児童数が過去最高を更新したのだそうだ。対象は2000年度の小中学生。前年度に比べ3.1%増の、十三万四千人を数えた。内訳は、小学校二万六千人、中学校は十万八千人。児童数は年々減少し続けているのだから、不登校児童の全体に占める割合は3.1%増どころではないわけだ。

 不登校児童増加の裏側には、以前ほど高くはなくなった学校に対する価値がうかがえる。それこそ一昔前の、学校に行くということが疑いようもなく自然なことに思われた時代とは、隔世の感があるというものだ。

 学校に行くことの価値の下がったのは、これまでの学校制度が時代にあわなくなってきたからだという見方もある。ひとつの教室に子どもを集めて、画一のカリキュラムのもとに教えるというやり方では、多様な興味を持った子らをつなぎとめられないのかも知れない。

 学校が絶対的な価値を失ったこと自体は、歓迎すべきことだろう。子どもを評価するための視点が、常に学校的価値に縛られていたころは、その偏狭な価値基準からもれた子らに正当な居場所は存在しなかった。学校から飛びだすか、うつむいて沈黙するか、どちらにせよ駄目な子とされていた。その、学校的価値が揺らいでいる。学校内では荒れというかたちで、外部には学校そのものの価値の低迷として。

 学校が無くなればいいとは思っていない。ただ、学校の画一性が問題だ。誰もが自己独自の価値を模索し、一様であることを望まない。世の中もありきたりの人材は求めていない。未だに学校だけが、変われずにいる。画一の人間を造り、突出を怖れねばならない環境は過去に捨て去るべきものとして、さまざまな価値に開かれた学校のあり方を模索する段階に来ている。既存の知識や価値を一方的に授けるのではない、子どもたち自身が自らの身の丈にあった知恵と価値を見出せる。そんな学びの場として、学校は脱皮していかなければならない。


参考資料


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公開日:2001.08.16
最終更新日:2001.09.02
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