今日で、フィギュアスケート・グランプリファイナルが終わり。NHK杯を含む世界各地での大会を勝ち抜いてきたトップクラスのスケーターが集まるだけに、ファンとしては見ないわけにはいきません。というか、実際NHK地上波での放送は、すべてビデオに録りながらことごとく見ました。もしハイビジョンを受信できる環境にあったらハイビジョンでも見、可能ならば録画もしたことでしょう。それくらいフィギュアスケートは好き。でも、一体なぜここまでフィギュアスケートに魅かれてしまうのでしょうか。
それは、ひとことでいえば美しさだといえるでしょう。各者各様に持った得意の見せ場を、趣向を凝らしプログラムに盛り込みながら、それであえてあるべき姿を逸脱することがない。しかしそうでありながら、時にはっとさせる美しさを鮮烈に投げかけてくる。この体験は、そうどこにでもあるものではありません。いうならば、トップアスリートのせめぎ合う場だからこそ生まれる、相克の厳しさがあって初めて可能ならしめられる、より研ぎ澄まされる美。そんな気さえします。
銀盤のうんぬんなどといわれますが、いざ見るとそういう現実を映す層は消え去ります。滑走し跳躍する彼ら彼女らは、現実の層を蹴り非現実的境涯に消えんがようです。それを追わんとして見るわれわれも懸命について行こうとする。その時、鑑賞者も能動的主体となり、彼らの軌跡にみちびかれ形而上の光景を垣間見るのです。
とまあ、こんな前時代的なことを口にしたくなるほど、スケートとはいいものなのです。
しかし、中でも男子シングルはいいです。特に今回は、ロシアのプルシェンコとヤグディンの両雄が激突。最高度の演技を見せてくれたので非常に満足。勝負にたらればはないといえ、もしヤグディンが手をつかなかったら勝敗の行方はわからないだろうほどの、高高度でのぶつかり合いでした。
気も早く、次のオリンピックが楽しみです。