今日はなんの日

 皆さんはご存じでしたでしょうか? 今日、五月四日はアリスの誕生日です。アリス? アリスといえばあの世界的に有名なアリス、アリス・プレザンス・リデル(後のハーグリーヴズ夫人)に決まってるではありませんか。あの、不思議の国を旅した少女です。

 アリスは1852年の5月4日、イギリスはロンドンに生まれました。なので、もし彼女が生きていれば、今日がちょうど149歳の誕生日ということになります。ついでにいえば、今日は彼女が不思議の国に遊んだ日から数えてちょうど139年目に当たるということもあって、世のキャロリアンたちはこの特別な日を迎えるにあたり、ある種の感慨に浸っているものと予想されます。ほかならぬ僕も同様、この日を祝ってケーキにシャンパンを用意した、というのは大嘘で、なんということもない日常に一日を費やしました。本当のキャロリアンなら誕生日に祝うなんて野暮はせず、誕生しない日にお祝いすべき……と力説するなら、今日を除く364日はさぞ盛大なパーティを、とお思いになられるかも知れませんが、おおかたの予想を裏切り、やはりつまらない日常に日々を過ごしております。なかなか、不思議の国に遊ぶような出来事は、身の回りに起きませんもので。

 ここでちょっと説明をば。アリスの物語は、ある金色の昼下がりに、リデル家の三姉妹にせがまれたルイス・キャロルによって語られた即興のお話がもとになっています。その昼下がりというのが1862年のことであり、三姉妹の真ん中の娘が、ほかならぬアリス・リデルでした。

 現実に存在した少女を主人公としたあの物語は、その低音に彼女と彼女を取り巻く環境を響かせつつ、奇妙な世界へとわれわれを誘って、深みにはまってしまったものがこうやって馬鹿なことを試みる。馬鹿といえば馬鹿、けれどそれが不思議の世界への切符かも知れないと思えば、悪いものではありません。だから、あなたもおひとついかが?


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公開日:2002.05.04
最終更新日:2002.05.04
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