二千二年三月

「ホワイトデー」…… なにそれ?

 二月十四日はバレンタインデー。日本では女性が男性に、その愛とともにチョコレートを送る日である。けど、なんでチョコレートなんだ? それはお菓子業界の陰謀のためである。そして商業主義の陰謀は、十年以上前にある特別の日を作り出した。それがホワイトデー、三月十四日である。

 ホワイトデーに、チョコレートをもらった男はお返しをしなければならない。当初のお返しがキャンデーやマシュマロだったことから、再びお菓子業界の陰謀があったと知ることができる。しかし今度は彼らが勝利を収めることはできなかった。それは生地業界の参戦のためである、多分。人はハンカチや下着をプレゼントし始めた。だがそのプレゼントは評判が悪く、特に後者はセクハラと受け止められる危険をはらんでいる。そんなわけでこの基準はすたれてしまったが、ホワイトデーの習慣は生き残った。

 現在では、みなはお返しとして自由にプレゼントを選んでいる。一説によれば、三倍返しが求められている。日本の聖バレンタインデーは義理と打算の支配下にあり、ホワイトデーも同様だ。義理の構造、これがホワイトデーの定着した要因である。義理を受けた日本人はそれを返さねばならない。聖バレンタインのチョコレートはホワイトデーの贈り物に変わるのだ。

 しかし私はホワイトデーが悪いものとばかりは考えない。義理の圧力下にあるオフィスで、女たちは同僚、上司にチョコレートを贈ってきた。ホワイトデー出現以前には与えるばかりだった女だが、それの出現以降は受け取る側にもなったのだ。素晴らしき平等! 私は平等を深く愛している。

 しかし愛を伴うものこそが最上である。私は自由も愛している。義理や打算は味気ない。

(初出:Les douze mois au Japon, mais selon moiオリジナル:フランス語)


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公開日:2002.07.11
最終更新日:2002.07.11
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