募集はしていません

 最近なぜだかやたらと疲れているので、一人称がボクである女の子と知りあいたい。――ところがひとつ問題があって、もし仮に知りあえたとしても、その娘は十中十マニアかおたくである。100%を超えてるんじゃないかな。確実と断言できるくらいマニアであるはずだ。

 そう長く生きているわけでもなく、交友関係も非常に狭い私は、残念なことにこれまで一度も一人称がボクであるところの女を見たことが一度もない。この世の何処かに必ずいると聞いてはいるのに、心の中に生きる幻なのか、幸いにして出会う機会をもたなかった。

 きっと激しく自己完結してるんだろうな……。なんとなく類型というのは分かっていて、妙なテンションの高さだとか、オーバーアクション気味の挙動だとか、基本的に人の話を都合よくしか聞かない、――いやこれは自分の中の真実を表に出そうとしないといったほうがいいかも知れない。他者を前にすると、不必要にサービス精神が旺盛というか、盛り上げずにはいられない性格というのだろうか、ちょっとした自尊心と人寂しさが混じりあっていて、ひとりになるとやり切れなさに押しつぶされそうで夜も眠れず時に涙する、――ような娘だといいな。まあ、ここにいったようなのはなにしろ過程の産物であるのだから、現実にはおるまい。現実にいるとしたら、こちらの趣味嗜好をあえて無視するかのように、自分のお勧めの漫画だとかアニメだとかを紹介してくれるような娘だと思う。あの、御免、僕はそういうのあんまり興味がないから、といっても一歩の譲歩もなく、いつの間にか全巻借りることになっちゃったよ、っていうか来週までに感想? そりゃ正直きついなあ、そんな感じだと思う。

 でもこのところなんだかとても疲れているので、一人称がボクである女の子と知りあいたい。知りあったとしても、会って話すでなくメール交わすでもなく、ただ遠くから美しい思い出として見守っておくに留めたい。


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公開日:2003.09.28
最終更新日:2003.09.28
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