夕食のテーブルにクリームチーズとキムチがのっていて、実を言うと私はそれほどクリームチーズが好きではない。ほのかに酸味があってあっさりとしながらも濃厚さを少し感じさせるクリームチーズだが、食べるならもう少し個性があるほうがいい。ちょっと食べて、発泡酒なんかを一口、ご飯なんかも食べて、けれどそれほどはいらないと思った。
キムチは辛い辛いという印象があるが、実際にはそれほど辛い食べ物ではない。辛みよりも乳酸発酵したうま味の方が強く、ほどよく熟成したものはいくらでも食べられるしご飯も進む。昔はあまり食べなかったが好みでも変わったのか、ここ数年は好んで食べている。
このクリームチーズとキムチが、合わさるとよりおいしくなることを発見してしまった。いや、そんなに力んで言うほどのことでもないのだが、クリームチーズにキムチはあう。チーズの酸味にキムチのまた違った酸味が合わさって、クリームチーズはクエン酸系で、ならキムチは乳酸だろう。違った酸味がふたつ合わさるのは意外に悪くなくって、それよりもキムチのほの辛さがチーズの濃厚な脂肪分に合わさることでとんがった感じが消え、食べやすくおいしさが際立つ。
これは実に嬉しい発見だ。特に炭水化物が好きでご飯を何膳でも食べたい自分としては、ご飯によくあう副菜を見つけたと上機嫌。とりあえず今お気に入りの食べ方は、最初にチーズ、次いでキムチを少し多めに、最後にご飯を食べる。多分順番を違えると、チーズの味わいよりもキムチの方が勝ってしまったりするんじゃないだろうか。だから順番はチーズ、キムチ、ご飯の順。これが多分一番おいしい。
ヨーロッパ的な食べ物の代表格であるチーズにアジアは韓国の代表的食品キムチを合わせよう、というかこのふたつが同じ食卓にあったというのがそもそも。多様な言語が適当に混ぜられ流通する国である。だから、まさにこれは日本的混交だったのだと思いたい。