猫写真を公開している知人に、写真のことで問われた。vixというソフトで得られるデジタル写真のプロパティ(各種データ)のうち、写真を撮る人が知りたいのはどれかというのがその内容である。そしてデータが添付されていた。それを以下に示そう。
項目 | データ |
---|---|
場所 | D:\MyDoc\My Pictures\ネコの部屋 |
種類 | JPEG イメージ (JPG) |
サイズ | "1.51 MB (1,591,674 バイト)" |
更新日時 | 2003/09/13 11:18 |
画像情報 | 2880 x 2160 ドット 24 ビット |
タイトル | SANYO DIGITAL CAMERA |
メーカー | "SANYO Electric Co.,Ltd" |
機種 | J1 |
作成ソフト | V711-76 |
日時 | 2003:09:13 11:18:19 |
露出時間(秒) | 1/122 |
F値 | 3.9 |
露出プログラム | プログラムAE |
ISO感度 | 57 |
撮影日時 | 2003-09-13 11:18:19 |
デジタル化日時 | 2003:09:13 11:18:19 |
明るさ(EV) | -1/0 |
露出補正(EV) | 0.00 |
最小F値 | 2.8 |
測光方式 | 分割測光 |
光源 | 自動 |
フラッシュ | 使用せず / オート |
焦点距離(mm) | 16.00 |
これはちょっとすごい。銀塩カメラでも高級機種になると多くのデータを取得保存できるが、おそらくここまでは残せまい。データを詳細に保存したい人にとっては、かなり興味をそそられるものではないかと思った。
では、私が写真を撮るときに残しているデータとはなんだろう。逆にいえば重要視しているデータであるともいえる。
写真を撮りはじめた当初は、小さな手帳に焦点距離、F値、シャッター速度をいちいち記録していた。現像後仕上がった写真及びフィルムを見て、検討をするのである。ひとつの被写体に露出違いの数バージョンを作成して比較などもした。しかしある程度撮ってくると、そういった手間というのが分からなくなってきた。というのも、それらデータには最も知りたいものが残されていなかったからである。
だから私はデータを書き残さなくなった。撮ったら撮ったままで、数バージョンは作成するのだが、それは露出違いを避けるためで、データ取りのためではなくなった。
提供されたデータから、写真とともに記載しておくと喜ばれるだろうデータをピックアップすると以下のようになった。
機種はいうまでもない。人の使ってる機材に興味があるのは、写真家なら誰でも同じだろう。同じ状況で同じ人がとっても、機材が変われば仕上がりが変わってくるのは当然のことだ。
露出時間とF値は、この組み合わせによって露出が決定されるのだから必要である。なので写真専門誌なんかを見ると、これらはまず間違いなく記載されている。そして焦点距離。焦点距離の違いによって写角や遠近感の表現が大きく異なってくる。でもこれは風景での話かも知れない。ポートレイトとかならあまり重要ではないかも。
測光方式というのは、分割測光であるとか中央部重点測光であるとか、露出計の測光方式の違いのことで、これにより出てくるデータが違ってくる。
分割測光は、画面を分割してそれぞれの枠ごとの明るさを評価し、露出を決定しようというものだ。フォーカスに連動して中心被写体の含まれる枠の値を重要視し、全体の光のバランスを見て順光、逆光等の状況を判断、適切な露出をはじき出す。カメラ自体が考えてくれているので、露出をオートで撮る場合には失敗の少ない測光方式といえるのだが、残念ながら完全ではないのはすべての機械ものに共通するものだ。そして人間にはカメラがなにを考えているかうかがうことができないため、分割測光で出たデータは応用しにくい。なので難しい被写体の場合には、画面中央を重視して値を出してくれる中央部重点測光が分かりやすいことも多い。
露出プログラムはプログラムAEとかシャッター優先とか絞り優先とかだろう。プログラムAEはシャッターも絞りも両方カメラが決めてくれて、シャッター優先だと自分で決めたシャッター速度にあったF値を、絞り優先だと自分が決めた絞り量にあったシャッター速度をカメラが決めてくれる。例えば、絞りによってぼけを調整したいとき、シャッター速度で移動体などを止めて撮りたいとき、ぶらして撮りたいときに便利。
そして露出補正。露出計が算出した値に対して、どれだけの補正をして撮るか。±0だと露出計通り、プラス補正だとオーバー、マイナス補正だと当然アンダーになる。露出プログラムに頼って撮るなら(普通は頼る)、この補正値がともに書かれないと意味がない。カメラが考える適性露出に対して、撮影者はどのような評価をしたかがここに如実に現れてくる。
ISO感度とフラッシュに関してはいうまでもないことなので書かない。後は使用フィルターと三脚の有無があれば充分かな?
しかし、以上にあげた項目に一番知りたい情報は現れてこないのである。一番知りたい情報というのは、その時、光はどのような状態にあったのかということ。これが分からないと、いくらシャッター速度やF値が書かれたところで意味はないと、以前からずっとそう思っていた。
もちろん、写真からある程度の状況は見て取れる。しかし深い黄昏に見える写真が実際にはマイナス補正でアンダーに撮られたものかも知れない。曇天のくすみを消し去るためにオーバーに撮っているかも知れない。そういった表現上の露出を知るには、現場がわからないとなんの意味もない。
写真に詳しい人は写真から現場を見抜くのだろうか? きっと見抜くんだろうな。
併記すべきデータは以下の九項目にしぼられた。
露出補正やフラッシュについては、使用したときだけ書けばいいと思う。露出がカメラまかせなら、プログラムAEと書けばいいだろう。
手元にある本、学研の『露出補正の攻略』を見れば、項目は、
となっている。オートならF値と露出時間がオートに置き換えられ、プログラムオート、絞り優先オート(F値)、シャッター優先オート(露出時間)、そしてその後に露出補正値が加えられる。
上の写真を例にとると、
あるいはF値と露出時間を加えて、
となる。
ただしこれだと少々繁雑に思えるので、
でいいかも知れない。ただこれだと16mmというのが意味不明でいやだ……