ベルギーの友人がバンド・デシネ(BD)を送ってくれた。BDというのはフランス語で、漫画のことをいうのだが、日本の漫画とは実際随分違っている。
日本の漫画単行本といえば、大抵が新書あるいはA5判でペーパーバック、まれにカラーページも見られるが基本的には白黒印刷である。対してBDは、ぱっと見には絵本かと見まごう装幀で、大判ハードカバー、オールカラーが一般的。普通に百頁を超える漫画とは異なり、五十頁程度にとどまるのも違いだ。
日本とフランスというふたつの文化における、マンガに対する見方の違いが見えるように思ったのだ。明らかにコレクションされることを前提に作られているBD。しかし漫画は読み捨てられることを前提に作られている。耐久力が違っている。無線綴の漫画本は再読による再読に堪えない。ただでさえ昨今は見開きの多いというのに、折角の画をよくみようと本を開けば、背に折れ癖がつき仕舞には頁が抜ける。紙質も悪い、簡単に日に焼けてしまう。古書店への流入を防ぐため、わざとそうしているという話を聞いたことがある。焼けて茶色くなった本は買い取り価格が落ちるからだ。こうした噂が本当であれば、読み捨てず売りもしない私なんかは、随分割を食わされている話じゃないか。
漫画愛好家である私は一月に相当数の漫画を買い込み、それらはすべて蔵書として手元に置いている。そうした漫画が、管理の悪さもあるが、置いておくだけで日に焼け傷んでいくのに耐えないのである。部屋に日を入れなければよいのだろうが、それで代わりに医者が入るのも馬鹿な話だ。
白黒の漫画とオールカラーのBD、この両者に優劣があるとは私は露ほども考えないが、世間ではどうなのか。特に送り手側の見識を疑っている。BD、漫画の扱いの違いを見れば、版元が漫画をどう見ているか分かろうものだ。どの口で「漫画は文化です」などとほざきやがるか、聞いてちゃんちゃらおかしい。