私らにとって音楽とはなんなんだろう

 私らにとって、日常、生活の中に音楽があるのは当たり前だ。一日に何時間も練習するのも別段なんでもないことで、だから、そんなに練習するなんてすごいですねみたいにいわれても困ってしまう。だってこれが普通だから。音楽を聴くこともすることももはや特別ななにかではなく、今更音楽を好きだとか愛してるだとかいうのもなにかが違う。そのせいで、音楽お好きなんですねみたいにいわれても、まあそりゃそうではありますが……、言葉を濁してその先が続かない。

 プロになりたいんですかという質問も困る。私の答えは常にノーだ。プロなんてのにはさらさら興味がなく、それ以前に、いったいどういう状態をプロというのかがわからない。私の友人には私以上に音楽に深く関わってるのが何人もあって、演奏したり教えたりで収入を得ている彼らにあなたはプロですかと聞けば、そうではないという答えが返ってくるんじゃなかろうか。ちょうど昔の私がそう思っていたように、私の友人は自分自身をプロとは考えていないと思う。

 私らはおそらく、演奏を金に替えられるということがすなわちプロであるとは思っていないのだ。音楽で生活できればそりゃ嬉しいかも知れないが、プロになることが目標でない。特に、テレビだとかに出てくるアーチストってやつは違う。私のことだけをいえば、私は私のする音楽がよりよいものになって欲しいと思っているだけで、別にこれを職業にとか一旗揚げてどうこうとか、そういうことはまったく考えていない。

 私にとっての音楽とは特別ななにかではない。しかしだからといって特別でないともいえず、この、当たり前だが特別、特別だが当たり前というあり方を説明しようとして通じたためしがない。だから私は、私の音楽に対するスタンスを説明するのは好きではない。それをあえて説明するとしたらどうなるだろうか。空気のようだとはいいたくない。いい例えようがあるとはちょっと思われない。


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公開日:2005.05.25
最終更新日:2005.05.25
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