いわゆるくれくれ君に関して

 くれくれ君はネットの嫌われ者だ。嫌われるには嫌われるだけの理由があることは百も承知している。しかし、状況によってはくれくれもしかたがないのではないかと思うことがある。

 私がかつて関わっていた掲示板においてのことだ。くれくれ君に対する批判がいつからか異様に高まるようになって、まず自分からしてみせろという決まり文句が繰り返されるようになった。天は自ら助くるものを助くというが、天がそうなら人はなおさらだろう。しかし、盗人にも三分の理くらいはある。自分でできるなら、もうとっくにやってるよな。できないからいってるんだよ。

 くれくれ君が自分でそういえば荒れること必定だから、ここで私がいっておこうと思う。くれくれ君のいうことはあながち間違っていない。正論とまではいわないが、できないことをできないというのはしかたがないことじゃないか。

 ただ、私はいつも思うのだが、くれくれ君は損をしている。彼らに足りないのは問題解決への努力ではなくて、他人を動かすためのプレゼンテーション技術だ。人が他人の利益のために動かないのは当たり前で、それを動かそうというのだからよほどの無理を通さなければならない。あらゆる手管でもってあたるべきところであるにも関わらず、彼らはそれをしないからくれくれ君といって馬鹿にされる。まず餌を与えるのだ。自分の仕事を添えてみるというのはその一手段、あるいは別のうま味を提示すればいい。ちょっとやってみたいかもと思わせることさえできれば勝ち。どんな手を使ってでも。なに、楽な勝負じゃないか。

 私はくれくれ自体はかまわないと思っている。人を動かすための技術さえ駆使すれば。技術が未熟なら訓練でもって育めばいい。こうした技術はネットのみならずあらゆる場面で役立つはずで、これこそが社会的技術ひいては人間力であるとさえ思っている。できないことを人に頼んでやってもらうのは、社会生活の基本だからな。


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公開日:2005.12.10
最終更新日:2005.12.10
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