2006年8月22日午後、大阪は雷を伴う豪雨に見舞われ、一部で床上浸水の被害を出した。その頃私は、コンピュータのトラブル解消するために大雨の中ずぶぬれになりながら移動していた。横殴りの雨に傘は役に立たない。かろうじて上半身は守ったが、下半身は水に浸かったかと思うほどに濡れた。
トラブル対処はさほどの時間もかけずに終わったが、雨足はいよいよ強くなるばかり、容易に帰れそうには思われず、出た先で足止めを食う。窓から見る雨は常軌を逸していた。雷激しく立て続けに鳴り、景色は霧が出たかのように煙って、その正体は雨しぶきだ。地面を、屋根を、壁を打つ雨が砕けて、風に流される様は霧そのもので、いよいよ傘は役に立たないだろうと思われた。
小半時ほども待ってようやく小降りに。事務所に帰ろうとして目を疑った。建物の裏口を出たところ、道が川のようになっていた。これでは帰れない。玄関に回ればそちらも水没。二階連絡橋で隣の建物に移り、水を避けながら大回り大回りで事務所に向かうも、事務所のビルは完全に水に取り囲まれていて、ここでせっかくの遠回りが無駄になった。
事務所に戻れば誰もいないのをいいことに、カメラ持って出て川になった道を数枚撮影して再び事務所に戻ったところ、奥の部屋が浸水しているとここではじめて知ったのだった。いってみればフリーアクセスの床パネルがめくられて、配線やらが剥き出しになっている。電気に影響がなかったのが幸いだ。タオルやらぞうきんやらで水を拭いてはバケツに絞って捨てて、仕事どころではないというのが本音だが、いたるところで機器の故障が発生している、目処がつけばひとりふたりと障害復旧に回って、てんやわんやで時間ばかり過ぎた。
向かいのマンションでは、地下駐車場が浸かって、数台は廃車になったろう。消防のポンプ車が出動しているらしく、あちこちからサイレンが聞こえる。書店の店主は平積みを全滅させて嘆いていたし、完全に店が浸かった飲食店もあった模様。駅前のコンビニは臨時に閉めて、店内には忙しく立ち働く男女の姿が見えた。
ニュースによると、一時間に100ミリを越える記録的な大雨であったらしい。