許可申請中

 新年明けてから、なんだか著作権づいているので、今日も著作権がらみのお話を。

 こととねの文書をクリエイティブ・コモンズ・ライセンス下に置いたのはいいのですが、実はちょっとした問題もあって、それを書かないことにはフェアじゃないと思うので、ここに書いてしまおうと思います。問題というのはなにかといいますと、こととね上には著作権を侵害するコンテンツが複数存在しているということで、それはいったいなにかといいますと翻訳です。日本語訳のついていない海外製品の説明書を日本語訳して公開しているページが複数あるのですが、実はこれは他者の有する著作権を侵害する行為でして、私はこのことに気付きながらあえて公開をやめようとはしてきませんでした。

 こういった翻訳がいったいどういう権利を侵害するかといいますと、それは翻訳権です。あるいは公衆送信権や送信可能化権あたりも侵害しているかも知れません。

どう見ても犯罪です

 この翻訳ですが、どちらかというと黒に近いグレーなんてものではなくて、真っ黒の犯罪行為であったりします。ですが、著作権侵害というのは親告罪なので、著作権者からの訴えがないかぎり罪にはならないのです。でも、だからといってやっていいことではないんですね。痴漢も親告罪ですが、訴えられる可能性は低いだろうといって、電車の中でそういう行為に及んだら、いくらなんでも犯罪です。著作権侵害もそれと一緒。まだ罪が確定していないというだけで、犯罪行為をおこなっていることにはなんら変わりないというのが私の置かれた状況です。

 私はこれら翻訳を公開した当初からこのことについてずっと気にし続けていて、けれど情報の共有の促進を大義名分としてごまかし続けてきたのです。ですが、どんな大義名分があったとしても悪いことは悪いことです。それこそ、権利者は仏語話者や英語話者であり、日本語で公開される翻訳コンテンツに対する追求はなされないだろうという考えもないではなく、そうした訴訟リスクの低さがこうした行為に踏み切らせたともいえるでしょう。それに、私の翻訳が権利者の商業的な利益を侵害するとは考えにくく、むしろ消費行為を促進しうるものであるという妄想もあって、情報共有のなにがわるいというんだ。まさに確信犯であったわけです。

 けれど、そうした行為が他者の権利を侵害するということはやっぱり念頭にあって、許可をとろうかどうか、ずっと迷っていたのも事実です。迷っていたというのは、いくら大義名分振りかざしてみても、やはり後ろめたかったのです。後ろめたさを感じるくらいなら、そんなことはすべきではありません。

正しいことをするのに躊躇すべきではない

 なので、私は権利者にお伺いを立てることにしました。今まで勝手に公開してました、ごめんなさい。勝手な言い分ではあるが、今後も翻訳を公開してもかまわないだろうか。できればクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(帰属 - 同一条件許諾)でライセンスしたいが、許可を得られないだろうか。

 もし得られればそれでよし、コンテンツは継続公開されるでしょう。しかし、もし不許可となればそれら翻訳コンテンツは消滅させます。場合によっては薮蛇となる危険性もあって、最悪訴えられても文句はいえない。けど、正しいことをするのに躊躇すべきではないと私は考えます。

 数年前から考えてきて、この数日さらに考えて出した結論です。結果が得られれば、なんらかの記事で報告することもあるかと思います。


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公開日:2006.01.03
最終更新日:2006.01.03
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こととねは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示 - 継承 2.1 日本)の下でライセンスされています。