お題:愛について

 書くことがなくて、なにかお題はないですかと泣きついたらば「愛について」ときた。愛、愛について。最初に思いついたのはドニ・ド・ルージュモンの『愛について』だった。けど、持ってるだけで読んでないからさすがにこれで書くことはできない。次に思いついたのはクンデラの『不滅』そして『存在の耐えられない軽さ』。私の考える愛に一番近いものは、多分クンデラの小説の中にあると思う。一瞬の光景に不滅を見つめてみたり、行きつ戻りつし、裏切り裏切られて、傷つきながらも最後には戻ることを決断する。私の愛は運命論には関わりを持たないと、クンデラの小説で確信したのだった。ただの偶然で成り立ったに過ぎない関係に、あえて戻ろうとする心の動きが愛なんだと思う。あなたでなくてもいい、あなたではない、もっと私にとって素晴らしいと思える女性(それこそ失われた半身のように)が世界のどこかに必ずいると思いながら、それでもあなたのそばにいたいと思う。この感情が愛なんじゃないかなと、そんな風に思っている。

 以前、人を抱きしめるときに思うことを答えさせられる、そういう罠のようなバトンを回されたことがあって、異例と思ったけれど答えてみた。そうしたら、普段接触を極力嫌う私が、実はその接触をことのほか求めていると明らかになって、言葉などは邪魔であり、ただ質量と温度を感じていたいのだということがはっきりとして、これは昔からそうなのだ。言葉は空しいもので、目に見えるものも不確かで、私は身体に残る感触――、重さとあたたかさをもって誰かの存在することを確かめたいのだなとそんな風に思ってきて、でもいつでもべたべたするのもあれだから、私はそばに寄り添いたいと思う。その人が見ているものを並んでともに見て、その感じたことを分かちあいたいと思う。この人と思いを共有したいという気持ちが私にとっての愛ではないかと思う。

 どうですか、支離滅裂なこの文章!


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公開日:2006.03.25
最終更新日:2006.03.25
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