人間はなんで表現を続けるんだろう。まあ、自分のことをわかって欲しいとか、そういう根源的な欲求があるからというのはいうまでもないことなんだろうけど、それにしても私はそれが度を越してるかも知れない、なんて思う。
けど、誰にも届いてないんじゃないかなあなんて思うわけさ。実のところ、私は人と人は理解しあえないと思っています。利害損得その他によってより近づいたり離れたり、そうしたことはあって、同じような傾向にある人もあって、ああこの人は私と似ていると思うことはあるけれど、それは別に理解しあえてるとかいうのとは違う。まれに人と話をしていて、すごく理解しあえたというようなことはあるけれど、私の場合それは後で誤解あるいは幻想と知れることが多かった。そう思わなかったものに関しては、きっと今なお誤解や夢想の途中なのでしょう。
でも、それでも理解したいという気持ちは残るし、理解されたいという思いも消えない。それが人のよさであって悲しみであるのだと思うな。
(初出:2006年7月9日)