署名を集めて思ったこと

 署名を集めて、青空文庫に送った。著作権保護期間の延長をおこなわないよう求める請願署名。第一期には三千五百ほどを集めたが、第二期にはどれくらいの数が集まるだろう。正直なところをいうと、少し心配している。

 2004年春、著作権法の改正により輸入盤の規制がなされるかも知れない、いわゆる輸入権問題において集められた署名は六万弱だった。衆議院には三万強の署名が届けられたが、保護期間延長に反対する第一期署名が、これをはるかに下回るものであったというのはショックであった。当然同程度の数が集まると思っていたからなのだが、つまりこれは期間延長問題に対する危機意識のなさの現れなのだろう。保護期間延長のもたらす影響は、輸入権を超えてはるかに大きいというのに、またそれについて知る期間は輸入権問題に比べてもずっと長かったというのに、問題意識が共有されていない。広く知られてもいない。著作権に興味を持つもののあいだでこそホットな話題であったが、それ以外、一般のものを巻き込むだけのムーブメントは生まれなかったということなのだろう。

 輸入権に関してはまさしく寝耳に水で、またJASRACやCCCDが長く悪役を買って出てくれていたこともあり、ユーザーには一種鬱屈した感情があった。輸入盤が買えなくなるかも知れない、CCCD売らんがためか。不安と不満、そして不信が後押ししたのがあの六万だったのだろう。それを思えば、延長問題に関しては迫力が足りなかったのかも知れない。署名を集めているのは青空文庫、身元の保証はこれ以上ないほど確かであるのに、それが数に結びつかないのは、なんとしてでも数を集めねばならない、奴らの思うようにされてたまるかという危機感、迫力の欠如だったのではないかと思っている。

 もちろん第二期の署名がどれほど集まったかはこれからわかることだ。願わくば、その数が私を安心させてくれるほどのものであって欲しい。


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公開日:2008.02.29
最終更新日:2008.02.29
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