昨年末に万年筆、ParkerのSonnetを買ったのをきっかけにして、すっかり万年筆に参ってしまっているわけだが、その後立て続けにParker EspritとPelikan Pelikano Juniorを購入して、ずいぶんと身の回りがにぎやかになった。さて、こうして万年筆を三本所有してみると、その個性の違いというものが気になってくる。違うペンに、またそれぞれ違ったインクが入っていて、ペンの個性にインクの個性が相乗するわけだが、はたしてそれはそれほどに違うものなのだろうか。気になってきたから、というか面白そうだったから、三種類のペンを並べて書いてみた。題して万年筆三者三様。
字の世界では永字八法という言葉があって、それは永の字には書における八種の筆運びが揃っているということなのだが、ということはつまり永の字を書いていれば他の字もうまくなるのかといえば、もちろんそんなことはない。永ばかり書けばうまくなるのは永の字であって、水とか氷とか、似た字はうまくなるだろうが、まったく違ったバランスで書かれる字は下手なままだ。
さて、万年筆を並べて書いていく際に、私が永の字を選んだのには意味がある。そう、習字においては永字八法という言葉がある。ということは、永ばかり書いていればおのずとうまくなるんだ、そう勘違いした時代があったため、私は永の字だけはそれっぽく書けるのだ。ああ、みっともない。
今回並べ書いた万年筆とそのインクは以下のとおり。
メーカー | モデル名 | ペン先素材 | ペン先太さ | 購入年 | インク |
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Parker | Sonnet | 18K | M | 2007 | Parker Quink Blue-Black |
Parker | Esprit | ステンレス | F | 2008 | Parker Quink Washable Blue |
Pelikan | Pelikano Junior | ステンレス | A | 2008 | Pelikan 4001 Rayal Blue |
ParkerのQuink Blue-Blackは私にとってもっとも慣れたインクだ。今回並べた文字の中でも、Blue-Blackによるものが一番落ち着いて見える。ただしペンがなじみとは違って、以前はParker 45のFを使っていたのが、SonnetのMに変わった。つまりは、インクの出が違う。こちらの方が当然たっぷりと出るわけで、加えてよりやわらかくなったと感じられるタッチ。ゆったりと伸びやかに書けるじゃないか、そう思う。
Parker Espritはペン先がステンレス、加えてFと固めのタッチ、インクもそれほどは出ない。メモ書きするにはよさそう。小さめの字、インク量も少なめなので、乾きも早そうだ。
インクはQuink Washable Blue。色がそれにしても薄いと感じられるが、これはペン先を洗浄した時の水が残っているからか。しかし、このインクはもともと薄めにできていて、今書いてみても傾向はまるで変わらない。
世の中はよくしたもので、万年筆についての各種情報を交換している人たちがいる。そこではインクについての情報も扱われていて非常に参考になる。Washable Blueのレビューを見ると確かに薄い。書き始めやペンが二度通った線については若干しっかりした色が付いているが、基本的には薄い色なんだな。さらっと書くには気持ちよさそうな色だ。
日に当てると退色が激しそうだな。気をつけよう。
Pelikano Juniorはインクの出が豊か、驚くほどたっぷりと出て、そのおかげか線ものびのびとしてくる。小さな字は苦手そうだが、もともとそういうためのペンではないし、気にはならない。
インクはPelikan 4001 Royal Blue。鮮やかな青。Pelikano Juniorを使ってるためもあるかも知れないが、色ののりも非常にしっかりとして、きれいだなあ、素直にそう思えるような青。ちょっと紫がかってるのかな?、けど紫じゃない、青々しい青、深い青。この色にもまたファンはいるのだが、それもわかるような気がする。