Webでの別れ

地上での暮らしを通じて出会った人は、仲が深まるのも遅く、けれど一度深まれば容易には切れない。ただ切れにくいのも考えもので、まつわりつくしがらみに辟易しても簡単には振りほどけない煩わしさがある。縁を切るにはかなりの覚悟が必要、けれど物理的な距離が簡単に人のつながりを弱めてしまう。去る者は日日に疎し。寂しかろうが、真実だ。

Webでの繋がりは弱い。出会い、そして仲が深まるまでの期間は驚くほどにわずかであるが、しかし弱い。弱い半面、この繋がりは遠くまで届く。緩く繋がりを維持しながら、地上でなら出会うこともなかったろう距離を超えて、人を結ぶよすがになる。この弱い繋がりも、固定的なポインタがあれば少しは補強できるかも知れない。とはいえ、ポインタを失えばもう一度出会える保証はまずもってなく、だから縁が切れるのも簡単だ。

生き別れより死に別れ。私はWebで出会い、そして別れようというときには、死んだものと思って呉れといっている。それはすなわち、それをもって今生の別れとしようと決めている。

(初出:2007年4月6日)


日々思うことなど 2008年へ トップページに戻る

公開日:2008.02.13
最終更新日:2008.02.13
webmaster@kototone.jp
Creative Commons License
こととねは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示 - 継承 2.1 日本)の下でライセンスされています。