毎月18日はNHK語学テキストの発売日で、今はもうラジオもテレビも受講していないのだけれど、テキストだけは買っていた。昔のバイト先の近所にあった書店。毎日のように顔を出していたらおやじさんに覚えられた。それこそなじみの店というやつだ。大学を出て、職場が変わって、自然足は遠のいたが、それでも縁を切りたくないから、語学テキストだけは買っていた。月に一度の途中下車。駅近くの店。だが、先月に店じまいされたようだ。
昔問屋にお勤めだったかなんかだったかな、書店や流通、出版社など、本とその周辺についていろいろお話しうかがうこともあり、いい店だったんだ。マニアックな店ではない。けれど四コマの揃えが妙によくって、だからその店がなければ私はこれほどまでに四コマにはまることはなかったんじゃないかと思えるほど。その店のおかげとまでは思わないものの、けれどあの店という環境があって今の自分もある、そういう思いはやはりないではないのだ。
いつも開いている店が閉まっていた。シャッターがおりていたのを見て、しかし信じたくなかったのだろう。今日、18日、確認するつもりでもう一度店の前に立って、しかしとうからわかっていたことなのだ。シャッターがおりているだけでなく、看板もおりている。先月あんなに確かめたのだから、今日になって店が開いていることなどあり得ない。それでも、あきらめ悪く、見にいかないでは気が済まなかった。そして見て、気が済んだかというと、やはりそういうわけにもいかなかった。
おやじさんに挨拶ができなかったのが心残りだ。長年、もう十年以上か、店に出入りして、だんだんおやじさんの元気がなくなっていることに気付いて、少し心配していた。いつまでも店をやっていて欲しいとは思ったが、今小売りは厳しいのだろう。引き際を見極められたのだろうと思う。それが先月。なじみにしていた店をまたひとつ失ってしまった。寂しい。